44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

ファイティングポーズはとらなくていい。がんとは戦わないことにした

ファイティングポーズはとらなくていい。がんとは戦わないことにした

この記事ではヨシノ(id:yo_kmr)が2016年の6月下旬ごろに書いたメモをまとめています。がん進行度ステージⅣと告知されて以降いろいろと悩みましたが、がんと闘うというスタンスではなく、がんと穏やかに向き合うことができればと思うようになりました。

僕はがんとは戦わないことに決めた

2016年6月。

思い起こせばここ数か月はいろいろなことがあった。

2016年5月の末頃、内視鏡検査で大腸に癌が発覚。

6月のはじめくらいからS状結腸にできた大腸癌の摘出手術で2週間ほど入院したのち退院。

退院の前日にがん進行度ステージⅣの告知を受ける。

その後3日間くらいは精神的にもつらい日が続いたが、5日経過した今日くらいからは多少は落ち着いてきたように思える。

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そうなると浮き彫りになってくるのが体調の不具合。

なんだかお腹が痛いような張っているような、重苦しい感じがする。

大便は出ているので便秘ではない。

手術から2週間ちょっとくらいしか経過していないから、あたりまえといえばあたりまえのことなんだろうけど、もしかしたら腹膜に転移している癌が悪さをしてるんじゃないかと心配になる。

でも、今日で退院して5日経ったし、そろそろ落ち込むこともやめにすることにした。

もう飽きた。

そして、僕は癌とは戦わないことに決めた。

癌は怖い。けど僕は戦わない

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「戦わない」と言っても治療を放棄するとか、人生をあきらめるとかそういった意味ではない。

かといって

「癌のことを好きになる」

とか、

「癌を愛する」

とか、

「癌と仲よくなろう」

とかそんなわざとらしいことも言いたくはない。

「癌ちゃ~ん、仲よくしよう~」

なんて心から思ってもないようなことを無理やり考えるのもどうかと思う。f:id:yo_kmr:20180725172843j:plain

正直言って癌は怖い。

怖いけど僕はどうも「癌と戦う」というこの言い回しに違和感を覚えてならない。

歯を食いしばって奥歯をギリギリ言わせながら癌と向き合うのではなく、もっと自然体で癌と向き合っていければと思う。

ファイティングポーズを取るのではなく、殴りかかろうと拳を振り上げるのではなく、両手は降ろしてただ素直に向き合おうと思う。

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戦わない=逃げる。ということではなく、しっかりと癌の前に立ちつつ穏やかに癌と向き合おうと思う。

自分にできることを淡々とやっていこう。

静かに穏やかにやっていこうと思う。

自分ががん患者であるということを受け入れて、心穏やかにがんと向き合えれば

僕はがん患者です。

ステージ4のがん患者です。

最初のころに比べれば随分と心穏やかにそう言えるようになった。

この癌というものは僕の人生において今までで最も大きなチャレンジなんだと思う。

どういう結果であれ、この大きなチャレンジがもたらしてくれるものはまた大きいものなのだと思う。

自分を奮い立たせるわけでもカラ元気で言ってるわけでもない。

ニュートラルな心の状態から素直にそう思えるようになったことは喜ばしいことなのかもしれない。

化学療法、抗がん剤治療と向き合う

今日で大腸がん手術後の退院から6日経過。

今までその恐ろしさから目を背け耳を塞いでいた化学療法、抗がん剤治療に対しても向き合っていこうと思う。

僕自身のイメージとしては癌そのものと同様に恐ろしく感じるのがこの抗がん剤治療。

あくまで不勉強で僕の勝手なイメージだけど、抗がん剤治療といえばあまりの壮絶さから髪の毛は抜け落ち、食べ物は食べられずゲーゲー吐くばかりで肌は土気色になり乾燥しガサガサになって体力も根こそぎ奪われてしまう、 といったイメージがある。

とりあえずは病院からもらった抗がん剤についてのパンフレットに目を通してみることにする。

抗がん剤を体内に入れるためのリザーバーという装置

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担当医のウエノ先生からもらったものと病院内常駐の薬剤師さんからもらったものを合わせて違う種類のものが五冊ほどある。

アバスチンに関するものが二冊とエルプラット、ベクティビックス、ゼローダに関するものがそれぞれ一冊づつだ。

ゼローダは経口抗がん剤で点滴ではなく飲み薬タイプみたいだ。

今後の治療プランとしては点滴での治療がメインなので口から飲むタイプのゼローダは今のところあまり関係ないのかもしれない。

先生の説明では次回の入院でまず「リザーバー」というものを外科手術で体内に埋め込み、その「リザーバー」を介して投薬を行うとのこと。

「五百円玉くらいの大きさのものを鎖骨の下あたりに埋め込みます」

先生がそう説明してたのを思い出した。そしてそれは一生涯僕の身体に埋め込んだままだということも。

先生に

「これって後で取るんですか?」

と聞いたところ、

「取りません」

と静かに言われた。

ああ、取るとか取らない以前に癌で死んでしまうんだろうな…と説明を聞きながら思った。

先生がリザーバーの説明で「でもこの装置には何万回って点滴針を刺せるんですよ」って言ってたのを聞いて、また心の中で(その前に死んでるでしょ)と軽く自虐的なツッコミを入れておいた。

抗がん剤を投薬する装置を一生涯体内に埋め込んだままという事実

まずこの「一生涯埋め込んだまま」という事実が僕の気持ちを暗くさせる。

それって死ぬまで抗がん剤治療を続けないといけないってことでしょ?

これからの僕の人生に抗がん剤治療が切っても切れないものになる、という事実に気持ちがズンッと暗くなる気がした。

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起こりうるであろう抗がん剤の副作用と向き合う

予定では1週間後にリザーバーを右鎖骨下の皮下に埋め込む外科手術をして、その翌日から抗がん剤治療が始まる。

FOLFOX4療法なるものが行われる予定なのだけど、パンフレットを見てもオキサリプラチンとか5-FUだとかよくわからない薬品名のオンパレードだ。

起こりうるであろう副作用についても目を通しておく。

ほとんどの人に対して起こる副作用に「手足のうずきやしびれ痛み」がある。

冷たいものが持てなくなったり指先がしびれて衣服のボタンが外しにくいといった症状が出るみたいだ。

なんかもう早速くじけそうだ。

まだどんなものか分からないが、めんどくさいことになりそうなことは確実だろう。

次に「骨髄抑制」、あーなんかもう字面だけで怖い。

パンフレットでは白血球や赤血球などの血液細胞が減少して感染症にかかりやすくなると説明してある。

投薬後2~3週間後に最も血球数が少なくなる。

1週間後には回復するらしいが白血球などが減ってる時期は風邪にかかりやすかったり、かかった風邪がこじれやすかったりするので注意が必要とのこと。

その他、血圧が上がりやすくなったり食欲不振、吐き気など、どれもこれもネガティブなものばかりだ。

抗がん剤で起こるポジティブな副作用はないものか

逆にひとつくらいポジティブな副作用があってもいいじゃないかとも思う。

例えば、異性を強烈に惹きつけるフェロモンが分泌されやすくなるとか、水虫が治るとか(僕は水虫じゃないけど)身体からバラの香りがしてくるとか、何故だか視力が回復してメガネが不要になるとか。

そんなのが一つでもあるとちょっとは気がまぎれるかもしれないのに。

あ、忘れてた。

最もポジティブな「癌を抑制する」という効果を。