九州がんセンターで採血を受け、温熱療法の戸畑共立病院へ行く
九州がんセンターで採血を受け、温熱療法の戸畑共立病院へ行く
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の7月下旬に書いたメモをまとめています。九州がんセンターで治験のエントリーができるかどうかの検査であるリキッドバイオプシーのための採血をした翌日に温熱療法を実施している戸畑共立病院へ行ってきました。
九州がんセンターでリキッドバイオプシー検査のための採血をする
2019年7月。
今日は九州がんセンターに採血のために来ている。
そもそも何のための採血かというと、新薬の治験の対象になるかどうかを調べるリキッドバイオプシーという検査のため。
標準治療以外の治療方法を模索している僕にとって九州がんセンターの治験は有力な候補のひとつだ。
前回のセカンドオピニオンを受けたときはここまで車で来たが、今回は試しに新幹線とバスを使ってみた。時間的には約1時間半くらいで到着したので車で来るのとあまり変わらなかった。
車で来ることと比較して自分で運転しなくていいというメリットはあるが、博多駅からバスに乗るのが面倒だというデメリットもある。
乗り継ぎがスムーズにいかなければもっと時間はかかっていたと思う。
だが、車で来る場合は高速道路などで思わぬ事故渋滞に出会ったり、予想外のことが起きることもあるので公共機関の交通手段の方が時間通りに到着するという点では確実といえば確実だ。
でもどちらかというと車で来る方が楽なので、次回もし来ることがあるならば車で来ようと思う。
リキッドバイオプシーの採血までかなり時間がかかる
9時に受付を済ませて、問診票や同意書を書いて、看護師からのヒアリングを受けてからしばらく待つ。
とりあえず待合ロビーで待っているが、ここまで来た長時間の移動の疲れか抗がん剤の副作用の影響なのか、なんだかしんどい。もしここに通うとなるときついかもしれない。
10:30ごろ診察室に呼ばれ、簡単な診察を受ける。そのときにリキッドバイオプシーに加え新たな治験の可能性がある検査も提案してもらったのでそちらの方もお願いした。
それは「HER2」というたんぱく質が出ている場合に対応する治験を今やっていて、がん組織をスクリーニング検査して、そのたんぱく質が出ているかどうか調べるらしい。2年前に大腸がんの外科手術をしたときに摘出して今も保存してあるがん組織の一部を検査にかけるという。これも可能性は低いが試してみることにした。
そしてこの後採血を受ければ今日は終了。という流れになっていたのだが、今回はやけに待たされた。
なんでもリキッドバイオプシーのシステムに変更があり、登録をするのに時間がかかるということで、結局採血が済んだのが午後3時くらいだった。
治験の担当の人が気を利かせて処置室の簡易ベッドを用意してくれたので、そこで横になって待つことができたので多少は楽に待つことができた。これがロビーの椅子に座って長時間待っていたら、とてもつらいものになっていたと思う。
採血が終わり、会計を済ませて病院を出て博多駅行きのバスに乗ったときには午後4時をまわっていた。さすがに待ちくたびれた。
検査の結果が出れば治験を受けられるかどうかがハッキリする
リキッドバイオプシー検査のための採血も終わり、これで治験へ向けてのステップがまたひとつ進んだことになる。
しかし医師の口ぶりや態度から推察するに、治験を受けられる可能性はとても低いと感じた。
九州がんセンターのエザキ先生もその可能性が低いことが分かっているので標準治療の方を勧めてきているのだと推測する。
治験はあくまで研究の一環なのでいつでもだれでもが受けられるわけではないし、研究の条件にあった被験者を選ぶのはしかたがない。
治験について調べる以前の僕のイメージとしては「副作用のリスクはあるが、新薬の効果が試せる」くらいに思っていたが実際のところ参加条件は厳しいものだった。
最新の医療が認可を受け、どの病院でも保険適用内で使えるようになるには時間がかかる。それほど遠くない未来には癌の謎は解明され、インフルエンザを治療するように気軽に治せる時が来るだろう。ただその時まで僕が元気でいられるかは分からない。
温熱療法と抗がん剤治療を組み合わせた治療法を実施している戸畑共立病院へ
2019年7月。
昨日の九州がんセンターに引き続き、今日は戸畑共立病院に来ている。ここが実施している温熱療法は九州がんセンターでの治験が受けられなかった場合、次の治療方法の候補として考えている。
ここは車で1時間弱と九州がんセンターに比べればそれほど遠くでもない。
今日の予定としては医師の問診を受けるだけになっていて、とりあえずは今の僕の状況と、もし九州がんセンターでの治験が受けられないときはこちらでの治療を受けたいという希望を伝えるつもりでいる。
今日ここにいたるまでの段取りはこれまで通っていた総合病院の病診相談室のマエザワさんがやってくれて、CT画像のデータなどを既にこちらの病院にも送っていてくれた。
病院に到着し、受付をすませ簡単な問診票やアンケートをかいてしばらく待つ。
診察室に呼ばれトヨダ先生(仮名)からこの病院で行われている温熱療法の簡単な説明を受ける。
温熱療法(ハイパーサーミア)の概要
- 戸畑共立病院では化学療法に温熱療法と高気圧酸素療法を併用しながら治療を行う「がん集学的治療」を実施しています。
- 温熱療法は幹部を上下の電極で挟んで、電極間にRF波(電磁波)を負荷し加熱すます。
- 正常な細胞では、体温が上がると血管が拡張し血流が増加することで、熱を放散させる動きがあるため42.5度に上がる事はありません。しかしがん細胞ではそういった機能が著しく低下しているため、熱を逃がすことができず温度が上がりやすいといった特徴があり、この性質を活かしてがん細胞だけを死滅させます。
- 体温が上がることで腫瘍細胞内に多くの薬剤が取り込まれ、抗がん剤の効果が高くなります。そのため抗がん剤投薬量を低減しても、その効果を維持でき、骨髄抑制や疲労感、食欲低下などの副作用においても軽減することができます。
戸畑共立病院では抗がん剤治療と温熱療法の組み合わせで治療をしていて「温熱療法だけの治療」というのは基本的にはやっていないらしい。
そしてその多くは入院ではなく、外来で行っているとのことだった。
4つの選択肢があると思っている
温熱療法の基本点的な説明を聞いた後は僕の考えを先生に伝えた。
今の僕の考えとしては4つの選択肢があると思っていて、優先順位をつけるとすると上から
- 九州がんセンターでの治験を受ける。(リキッドバイオプシーの検査で対象になる可能性は低い)
- この戸畑共立病院で温熱療法の治療を受ける。(ハイパーサーミア)
- これまで治療していた病院に戻り、当初の予定通りベクティビックス抗がん剤を受ける。
- 治療自体を辞める
この4択だと思っているということを伝えた。
話を聞いてくれたトヨダ先生は感じのいい先生で、僕の考えに快く賛同してくださった。
そして「こちらで治療するならいつでもいいですよ」とおっしゃってくれて、その言葉がとても心強く僕の心に響いた。
僕としてはまだ九州がんセンターでの検査結果が出てもいないうちにこちらの病院に来たので、なんだか「二股」をかけているようで後ろめたい気持ちも多少はあったが、先生は「そんなこと気にする必要はありませんよ」ともおっしゃってくれた。
とりあえずは九州がんセンターの治験がダメならこちらで治療を受けたいという旨を担当医のアマキ先生宛に手紙を書いておくので今の担当医との連携をしっかりとってくださいとのことだった。
またひとつ新たな治療方法への可能性がひろがったような気がする
とりあえずは九州がんセンターに続き戸畑共立病院への顔つなぎができて、またひとつ新たなステップを踏めたような気がする。
戸畑共立病院から帰ったあとは比較的体調も良く、なんだかこころなしか元気も出てきたみたいだ。
6月のCT検査でがんが増大傾向にあると分かって気持ち的に落ち込むことが多かったけど、いろいろと行動していくうちに治療のあらたな可能性が見えてきて精神的に安心したおかげなのかもしれない。
やはり「気は心から」とか「病は気から」なんていうけど、気持ちと体調は大きく関連しているんだと思った。
あまりふさぎ込まないように、精神的にリラックスした状態を作っていけるように工夫できるときところは工夫すれば、体調面でもプラスになると思う。
今は行動した先になんらかの希望が見いだせると信じて進んでいこう。