44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

5クール目の抗がん剤治療での入院2日目から退院まで【がん闘病記60】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の9月上旬ごろに書いたメモをまとめています。

入院2日目の夕方ごろ吐き気が特にひどくなる

2016年9月。

16:30ごろ、吐き気がひどくなってきたので追加で吐き気止めの点滴をしてもらうことにした。

検温と血圧を測りに来られた日勤の看護師さんにどうにも吐き気がひどいことを話すと

「それなら追加で吐き気止めの点滴をしましょうか?」

と提案されたのでやってもらうことにした。 

自分の中の目安で吐き気のつらさ度を最大で10とすると8くらいのつらさだと思う。

たぶんつらさ度10を超えると吐いてしまうんじゃないかと予想。

でも、この吐き気止めの点滴を使用することには少し抵抗がある。

出来れば使わずに済ませたい。

薬のチカラに頼らずに耐えきりたい。

今はまだ抗がん剤治療の5クール目。予定では全部で12回なのでこの先こういった吐き気などの副作用が回を重ねるごとに熾烈を極めていくのは必至。

なのでこういった切り札的なものは後半に取っておきたいという気持ちがある。

けどこのままひどくなって吐いてしまったら余計苦しいだろうから、予防措置として吐き気止めの点滴をするという選択をした。

看護師さんが実際に持ってきたのは点滴というより注射のようなものだった。

点滴の管には他の点滴も同時にできるような弁が付いていて、そこからちゅーっと注入する感じだ。

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追加の吐き気止めをしてもらってからはプラシーボ(気のせい)かもしれないけどなんとなく気分がいい感じがした。

あまり多用するのもよくないと思うけど吐いてしまうくらいなら追加で吐き気止めをした方がいいのかもしれない。

 

癌患者らしくなってきた 

就寝前に洗面台の前に立って鏡で自分の顔を見る。

顔のシミの黒さがより深く黒くなっているのに気づく。

これも抗がん剤の影響だと思われるが、身体のいたるところで黒っぽくなる色素沈着が始まってきている。

よく見れば身体中発疹やらシミだらけ。

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汚い、見苦しい。

加えて体重も落ち、髪の毛も薄くなってだんだん癌患者らしい見てくれになってきた。

僕は男性なので普段からあまり自分の肌についてあれこれ悩んだりすることはないけれど、やはり少しだけ気持ちが落ち込む。

はあ…、これじゃあますますモテないよ…

いや、今までもモテてないことは十分わかってる。

それでも、

「いままではモテていた状態」から「モテない状態」に下がるよりも、

「モテない状態」から「輪をかけてより一層モテない状態」に下がったほうがダメージは大きい。

10が5に減るショックより0がマイナス5になるショックの方が大きいと思う。

ああ、かわいそう。

なんだか自分がかわいそうで不憫に思えてきた…

でも自分で自分を哀れんでみても顔のシミは無くならない。

もし抗がん剤治療を終えることができる状態になれば肌も治ることを祈ろう。

 

5クール目の抗がん剤治療の最終日

抗がん剤治療での入院3日目で最終日。

今日も早朝5時には目が覚める。

とはいえ、グッスリ眠れたわけでもなく眠りは浅かった気がする。

気分の方はどうかというと倦怠感、吐き気、食欲不振、その他もろもろ。

とりわけ鼻の感覚が鋭くなって少しでも変な匂いを嗅ぐと吐きそうになる。

抗がん剤治療も5クール目ともなると副作用のキツさが増してくる。

あと1回を終えることができれば予定の半分をこなして大きな区切りを迎えることができるけど、あと7回もこんな苦しみが続くと思うと気が遠くなりそうだ。

新たな副作用「便秘」

そして新たな副作用の症状として昨日今日と大便がでてない。

便意を感じてトイレに座っても全く出ない。

なんだかお尻に栓でもされてしまっているような感じ。

便秘になってしまった。

僕は生まれてこの方便秘なるものになったことがないので初めての経験だ。

排便ができないことが、便秘がこんなに苦しいものだとは思わなかった。

あーつらい。

とはいえなんとか5クール目の抗がん剤の投薬も無事終了した。

最後の点滴が落ち切ってからナースコールをして看護師さんに点滴の針を抜いてもらう。

その後いつも通りてきぱきと帰り支度をして病院をあとにする。

また11日後には6クール目の抗がん剤治療で入院することになるのでしばしの別れだ。

重くなっていく副作用

退院して家に帰り、食欲が無いので冷蔵庫に入れていたスイカを夕食代わりに食べようと取り出す。

冷たいスイカを持とうとすると指先に激しい手のしびれを感じてとっさに手を離した。

持っていられないくらい手のしびれがひどい。

「あー薬剤師さんが言ってた手のしびれが本格化してきたなあ…」

今まで冷たいものを持った時に手がピリピリとしびれた感じになったことはあっても、しばらく持ってられないほどひどいのは今回が初めてだ。

ああ、どんどん副作用が重くなっていく。不安だ…

あと7回も抗がん剤治療を受けられるのか?耐えられるのか?

僕は「もうギブアップだ」と言いださないだろうか?

見通しは暗くなるばかりだ。

風呂に入って髪を洗っても抜け毛がひどく、手につく抜け毛を見て、

「うわあ、引くわー」なんて一人でつぶやいてる。

でも、風呂上がりに鏡を見るとまだ「薄毛」レベルで踏みとどまっている。

これが「落ち武者」レベルまで行ったら容赦なくスキンヘッドにしよう。

それと薄毛になってひとつ気づいたことがある。

それはオールバックが決まりやすいということ。

よく洋画のマフィア映画なんかで初老の男性がかっこよくオールバックを決めてるのを見たことがあるけど、これを髪の毛のボリュームがあるときにマネしようとしてもなかなかできなかった。

どうしてもボリューム感が出てこんもりふくらんでしまってスッキリとしたオールバックができなかった。

でも薄毛になって風呂上り濡れた髪を後ろに撫でつけるとぴったりと頭皮に張り付くようなスッキリとしたオールバックなることが分かった。

問題は髪の毛のボリューム感にあったんだ。

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でも別に今オールバックにあこがれてるわけじゃないんだけど…

まあ、せっかく薄毛になったことだしピシッとしたオールバックの髪型を楽しんでもいいのかもしれない。

う~ん…あんまりうれしくはないかな。