44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

4クール目の抗がん剤治療のため再び入院する【がん闘病記53】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の8月中旬ごろに書いたメモをまとめています。

4クール目の抗がん剤治療開始

2016年8月。

今日から4クール目の抗がん剤治療のため、再びいつもの総合病院に3日間入院することになっている。

朝、目が覚めて真っ先に自分の体調に意識を向ける。

まだ前回までの抗がん剤の副作用が抜けきらないでいるみたいだ。

前回3クール目の抗がん剤の副作用のつらさが長く尾を引いていて身体が重く感じる。

倦怠感のつらさ度の目安は7くらいだろうか。

つらさレベル7

まだ4クール目の抗がん剤の投薬が始まってすらいないのにけっこうキツイ。

今はとにかく横になりたいけどとりあえず病院にいかなくては。

 

病因に到着してからの入れんの流れ 

病院についてからの一連の流れは決まっていて、入院も今回で5回目なのでもう慣れたものだ。

まず病院に着くと機械の受付機にカード型の診察券を通す。すると予約していた受診科が表示され、その受診科の受付窓口に出す紙が出てくる。

僕の場合はまず最初に採血の窓口に直行する。

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そこで採血を済ませてから外科窓口に行き、1時間以上待ってから担当医のウエノ先生による問診になる。

ここで必ず採血の後は1時間以上待たないといけない。

なぜかというと最初に採血した血液検査の結果が出るまで1時間以上かかるからだ。

今回も例にもれず1時間以上待ってからウエノ先生の問診を受けに診察室に入る。

 

腫瘍マーカーの数値

血液検査の結果としては4クール目の抗がん剤治療を始めるのに問題ない血液の数値らしいので、抗がん剤治療がまた容赦なく開始されることになった。

現時点でまだ前回の抗がん剤の副作用は抜け切っていない。

まだまだ前回までの副作用が抜けきらないうちにまた新たに抗がん剤を投薬されるなんて…

なんだか副作用という「負債」がどんどん積みあがってきている感じがする。

副作用の上に副作用を重ねていくイメージ。

 

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しかし、今回の問診で先生が教えてくれたことで血液検査の腫瘍マーカーの数値が通常範囲内ということが聞けてよかった。

(※腫瘍マーカーとは癌の種類によっては癌細胞が体液中に測定可能な特徴的な物質を生成することがあり、その血液中の数値を測定するもの)

CEAとCA19-9とかいう数値が癌細胞が体内にあると異常な数値が出るらしいのだけど、この数値が正常範囲内に収まっているとのこと。

ただ、この数値はあくまでも目安、参考値でしかない。

担当医のウエノ先生が言うには癌細胞が実際に身体の中でどうなっているかどうかを厳密に調べるには身体の中の全部の細胞ひとつひとつを顕微鏡などで調べてみない限りはハッキリとは分からないそうだ。

体内にある30兆個とも60兆個ともいわれる数の細胞ひとつひとつを調べていくことは今の医療技術では不可能に近い。

それに腫瘍マーカーの数値が正常範囲内なのに癌が見つかった人もいるし、逆に腫瘍マーカーの数値が正常範囲から外れているのに癌が見つからない人もいる。

偽陰性(ぎいんせい)とか偽陽性(ぎようせい)と呼ばれるらしい。

 

とはいえ、数値が正常とか範囲内とかこういうポジティブなことが聞けると励みになる。

ここ最近は気持ち的に落ち込んでいたからなおのこと助かった。

僕は生きるために治療を受けている。

この苦しみも生きていくためのもの。

そのためのチャレンジなんだと思えばもう少し頑張れるかな。

 

抗がん剤投薬開始

13:00頃、これから3日間入院する病室での入院準備も終わって、化学療法4クール目の抗がん剤の投薬の点滴が始まった。

いつものように担当医のウエノ先生が僕の右鎖骨下の皮下に埋め込まれている500円玉くらいの大きさのリザーバーという装置に点滴針をさしてから点滴が始まる。

投薬が全部終わるのはこれから約48時間後。

今回は病室のベッドの空きが無くて準備が滞るなんてことは無かったものの、僕の他にも来院して外科を受診する患者さんがとても多かったので結局この時間までずれ込んでしまった。

投薬の開始時間としては今まで3クール受けてきた中でも遅い方だと思う。

遅く始まったからといって点滴が落ちる速度は早められない。

点滴は点滴台からぶら下げられた薬液の入った袋から輸液ポンプという機械を通して決まった速度で体内に投薬される。

吐き気止めの点滴とかは機械を通さずに投薬されることもあるけど抗がん剤のような強い薬は機械を通して厳密に管理されている。

抗がん剤はベクティビックス抗がん剤の他に何種類か投薬されるけど、ひとつの抗がん剤の投薬が終わった後で薬液を変えるときに空になった薬液の袋を看護師さんはしっかりゴム手袋をして厚手のビニール袋に入れてから持って行っているのでその作業を見るにつけて「ああ、やっぱり強い薬なんだな」と再認識させられる。

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投薬が始まってから数時間が経った。

既に倦怠感は8くらいのつらさがある。

でも考えてみればこの治療には痛みが伴うわけでもなし、眠れないとか空腹や渇きに身悶えすることもない。

よく生きてる。

身体の一部に問題はあるけれど、僕はよく生きてるよ。

今日も明日も明後日も生きるぞ。

 

汚い僕の身体

話は変わるけど、僕はどちらかというとお風呂に入るのは好きな方だ。

たまにめんどくさいと思う時もあるけど、1日の終わりには入浴して身体をしっかり洗ってから寝ないとなんだか気持ちが悪い。

でも抗がん剤治療が始まってから自分の身体を見るにつけ、少し憂鬱な気持ちになる。

入浴前に洗面台の前に裸で立って自分の身体を見る。

なんだか醜いし汚い。

入浴は毎日してるのである程度の清潔さは保たれていると思うが、抗がん剤の影響なのか身体の所どころに湿疹のようなブツブツができているせいで見た目に汚いと言うか、見苦しい。

そして右鎖骨下あたりには皮下に埋め込まれたリザーバーが1㎝くらいポコっと隆起していて見た目にも目立つ。

リザーバーについては1㎝くらい隆起しているとはいえ、今のところ生活に支障はないし人前で裸になることもそうそうないのだけれど、やはり気にならないと言えば嘘になってしまう。

 

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湿疹については今の季節は夏なので服装は腕を出したものを着ることが多いのだけど、その腕が湿疹だらけで見た目にも汚く見苦しく見える。

腕がツルツルした人を見ると年齢、男女問わず羨ましく思う。

でもこの湿疹だらけの腕について僕はそれほど深く悲観してはいない。

なぜなら僕は14歳のころからアトピー性皮膚炎に悩まされてきたので、今更この程度の湿疹ではたいしたショックを受けるほどでもない。

もしもこれまでの人生で僕の腕がツルツルだったのならその落差でショックを受けていたのかもしれないけどこの程度では今さら慌てふためくものでもない。

皮膚の異常については僕は30年以上のキャリアがあるんだ。

人が僕のことを見てどう思うかはあまり気にならないし、こちら側で他人の思惑や感情をコントロールできるわけでもないから、こちら側であれこれ考えてもしょうがない。

他人が僕のことをどう思っているかであっちいったりこっちいったり右往左往、きりきり舞いするような、そんなゲームにはもうとっくに飽きてしまった。

 

少年時代から続いてきた肌トラブルも抗がん剤の副作用で肌に湿疹が出るという、こんな事態になった時のために時間をかけて訓練されてきたのかな。お膳立てされてきたのかな?と少しだけ思ったりもする。