なぜ早期に大腸癌だと気づけなかったのか?兆候はなかったのか?抗がん剤の休薬期間中に考える【がん闘病記63】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の9月上旬ごろに書いたメモをまとめています。
5クール目の抗がん剤投薬終了から6日経過
2016年9月。
朝から昼すぎにかけては少し体調がいい気がする。
副作用は相変わらずで、食欲は無いけれど気分がいいっていうのがかなり助かる。
この気分がいいっていうのは体調が万全ってわけではなく、あのイヤな吐き気と重苦しい倦怠感が軽いってだけの話だけど。
でも夜になってくると気分が悪くなってくる。
あの鼻をつく嫌なにおいと共に倦怠感がやってくる。
実際に自分の周囲に嫌なにおいがしているわけではない。
なんというか鼻の奥というか首の後ろというか自分の身体の中からイヤなにおいのようなものを感じている。
腐った卵と髪の毛を一緒にいぶしたようなそんなにおいが吐き気と倦怠感と共にやってくる。
僕のまわりにそんなにおいがしているわけでも身体からそんなにおいを発しているわけでもないけど、これがたまらない。
今までの人生のなかで味わってきたどんな苦しみとも少し次元が違う苦しみ。
身体中の全細胞が一斉に苦しんでいる、全細胞が同時にイヤイヤ言って嫌がってる、そんな感じ。
身体の内側から薬で焼かれる、そんな苦しみ。
これが肉体的にも精神的にもつらい。
そんな抗がん剤の副作用は比較的夜になると強まってくるので早く寝るに限るのだが、ついついこれまでの習慣から夜更かしをしてしまう。
つらいのは自分なのでなるべく早く寝てしまおう。
なぜ大腸癌だと早期に気づけなかったのか考えてみる
5クール目の抗がん剤投薬後から7日経過
今日も今日とて抗がん剤の副作用に苦しめられている。
こんなことになるくらいなら、なぜ大腸癌だと早期に気づけなかったのか?
このことについて少し考えてみようと思う。
一般的な健康診断でがんは見つかるのか?
まず、健康診断でがんの早期発見は可能か考えてみようと思う。
僕は毎年簡単な健康診断は一応受けてはいた。
血液検査、血圧測定、心電図、胸部レントゲン、検尿など。
詳しい検査内容は忘れたけど一般的な検査内容だったと思う。
癌が発覚する前年度も健康診断は受けたけど、検査結果としては何かしらの数値が多少範囲外だったくらいで「緊急に再検査を要する」といったことは言われなかった。
大腸癌が発覚して様々な検査を経て手術した経験から、僕個人の考えとしては一般的な健康診断だけでは大腸癌は発見しづらいと思った。
なぜなら実際僕が大腸癌だとハッキリ判明したのは大腸にカメラを入れての内視鏡検査だったし、その前の段階として便の中に血が含まれているか調べる「検便」などの検査が無いとなかなか大腸癌まではたどり着きにくいのではないかと思う。
そして健康診断での血液検査にしても腫瘍マーカーまで調べる血液検査はしていない。
腫瘍マーカーまで調べる検査はオプションで費用が高額になるし、医師によって見解は分かれるかもしれないけどそれほど早期発見に役立つ指標でもないらしい。
ただし、普通の健康診断ではなく、「がん検診」を受けていれば結果は変わっていたのかもしれない。
そもそも「健診」と「検診」には違いがある。
「健診」は健康診断の略で健康上に問題が無く適切に社会生活を送れるかどうか調べる程度のもの。
そして「検診」のほうは特定の病気を早期に発見し、治療を行うことを目的としている。
なので「癌を早期発見する」という目的なら健康診断に加えてがん検診の方も受けるべきだった。
がん検診を受けたからと言って100%癌を早期発見できるとは限らないけど、それでも確率は高い方だと思う。
しかも40歳以上になると癌にかかる確率(罹患率:りかんりつ)はグッと上がる。
僕は昔生命保険の営業の仕事をしていたこともあるので、そういったデータは知識として知っていた。
知っていたのにも関わらずがん検診に行かなかった。
「40歳を過ぎたらがん検診に行かないといけないな~」と思いつつ結局のところ行かないままだった。
全て自分の怠慢から来るもの。
今さら後悔しても遅いけどがん検診にしっかり行ってさえすれば今このように抗がん剤で苦しむことも無かったのかもしれない。
痛みなどの兆候に気付かなかったのか?
今思えば大腸癌の兆候として、自覚できる腹部の痛みはあった。
きゅーっと締め付けるような、ねじ切られるような痛さがひどくなったり治まったりする痛さの波のようなものがあった。
このような痛みはあったけどそれが大腸癌によるものなのかは分からなかった。
なぜなら初めてのことだったから。
風邪による喉の痛みや咳、鼻水の症状なら何度も経験したことがあるので風邪が原因だとすぐさま判断がつくけど大腸癌からくる痛みは生まれて初めての経験なので判断がつかなかった。
加えてぱっと見で分かる外傷と違い、内臓からくる痛みはその痛みの原因がどの臓器からなのか見えない分はっきりとピンポイントで判断しにくかった。
僕の場合、痛みは感じていたもののそれが胃からくるものなのか小腸なのか大腸なのか、はたまた肝臓や腎臓なのかまるで分からなかった。
「ポリープか何かできているのかな?」
「まさかとは思うが癌?いやいや違う病気だろう」
なんて都合よく楽観的に考えていた。
逆に今大腸癌が発覚する直前と同じような腹痛を感じたら真っ先に大腸癌を疑うことができるとは思う。
便秘、下痢など排便の異常はあったのか?
排便に関して、特に便秘や下痢の症状はなかったように思う。
ただ便は細くなっていた覚えがある。
今思えば僕の場合、癌ができていた場所は大腸の肛門に続く最後のカーブであるS状結腸部分にできていて内視鏡検査でのカメラも通らないほどの大きさらしかったのでその部分はかなり狭くなっていたと思われる。
その狭い部分をなんとか無理して便が通っていたので細くなっていたのだと思う。
そして血便というか便に血が混じっていてトイレットペーパーに血がついていたりもしたけど「ぢ」か何かかと思ってあまり深刻に考えなかったことも発見が遅れた要因だと思われる。
痛みがひどいときなどは我慢できずに真夜中に救急外来まで行ったがそれでもすんなりと大腸癌だと診断されることはなかった。
医師の見解
腹痛を感じていろんな病院にいったけど、すんなり大腸癌だと診断されることはなかった。
内科、消化器内科、胃腸科、肛門科などを受診した。
その際ウイルス性の腸炎とか憩室症だとか診断されて大腸癌はあまり疑われなかった。
僕の年齢からかあまり大腸癌を選択肢に入れられることが無かったような印象だった。
今の担当医のウエノ先生との初めての問診のときにもウエノ先生が「若いねー」としきりに言っていたので僕の年齢で大腸癌にかかる人は少ないのかな?と思ったりもした。
最終的には「ぢ」だと思って受診した肛門科で触診を受けたとき、この血は「ぢ」ではないと言われ内視鏡検査を受けて初めて大腸癌だということが分かった。
結果的には実際に患部をカメラで見るまでは大腸癌だとは分からなったということだった。
まとめ
なるべく早期に「がん検診」を受けていればよかったかなというのが僕個人としての考え。
40歳を過ぎれば癌にかかる確率は上がるということは知っていたし、早めに行ってもし癌が見つかれば早期発見で回復の見込みも高くなるし、何も見つからなければ100%癌が無いとは言えないけど、とりあえずは安心できる。
どちらに転んでもいいことづくめだ。
デメリットがあるとすればがん検診を受けるのがめんどくさいとかそのために時間を取らないといけないとか費用がかかるとかその程度。
自分の命に比べれば比べるべくもない些細なことだ。
でも癌が発覚する前のぼくは「めんどくさい」とか「いつかそのうち」の方が勝っていて結局がん検診に行くことはなかった。
自分自身のリスク管理としても詰めが甘かったなあと、今は抗がん剤の副作用に苦しみながらただただ反省するばかりだ。
癌が発覚する前、腹痛に苦しんでいたあのころの自分に何か言うことができるとすれば
「40歳を過ぎて体調でちょっとでも疑わしいことがあるならさっさとがん検診へ行け」
と言いたい。