44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

がん細胞の活動状況を確認するため、FDG-PET検査を受ける【がん闘病記109】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2017年の1月下旬に書いたメモをまとめています。

PET検査に向かう直前、自宅の階段ですっころぶ

2017年1月。

12クール目の抗がん剤投薬後から12日経過。

今朝、うっかり自宅の階段で転んでしまった。

降りる途中、下の方で転んだので大したことはなかったが、背中を強打してしまいとても痛い。

すぐフラついたり、足の裏に皮膚のひび割れ防止の軟膏を塗っているから滑りやすいので気を付けなければ。 

PETとは

PETとは(positron emission tomography:陽電子放出断層撮影)の略で従来のCTやMRI検査と違い、癌細胞の活動状況を画像で見ることができる検査だ。

先生らは「PETCT」言っていたが病院からもらった資料によると「F-FDGを使用したFDG-PET検査」というのが正式な名称らしい。

FDGとはブドウ糖によく似た物質でブドウ糖と同様に癌細胞が通常細胞より好んで多く取り込もうとするのでFDGは癌細胞に集まりやすい性質をもつ。

そのFDGから出る放射線をカメラで撮影して癌細胞を観察するというのが今回の検査になる。

ただし、ブドウ糖を取り込まない癌もあるし、癌の大きさが数ミリだと映らない場合もあるらしい。

 

ものものしいPET室

来院したのは11:30ごろで最初に受付をすませると、持参していた水500mlを飲むように指示される。

水を飲みつつ待っていると検査技師らしい人が来て最初にPETCTとは別に普通のCTを撮るとのことでCTの検査室へ入る。

でっかいドーナツの状の輪っかの機械に入って検査を受ける。

たぶん5分くらいで終わったように思う。

そのあと少し歩いてPETCT検査にいくのだが、もう検査室に入る前から物々しい感じがしている。

なぜかというとドアに放射能マークが描かれており、部屋に入ってはき替えるスリッパにまで黄色地で赤く放射能マークが描かれていた。

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検査をする前に静脈注射で放射線が含まれた薬品を体内に入れるという。

特別な機械から細く伸びた管をつたってゆっくりとその薬品が体内に入っていく。

その後パーテーションで仕切られた2メートル四方くらいの広さの真ん中にソファが置かれた待機室のような場所で1時間ほど安静にするように言われる。

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「新聞とか本など読んで目を使うと、目の付近に薬品が集まりやすいことがあるのであまり目を使わないでくださいね」

ということなので、何もできずにただただ目を閉じて座っていた。

ほどなくして1時間が過ぎ、検査が始まった。

先ほどのCT検査より少しだけ小さめのドーナツ型の機械の輪の中に入り、検査を受ける。

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検査時間はトータルで2時間半くらい

CT検査より時間がかかり、20分くらいで検査は終わった。

その後はもしかしたら写真を撮り直さないといけない場合があるのと、薬の効果が弱まるまでは部屋から出れないそうなので先ほどの待機室で待つことに。

薬を注射したあと1時間ほど待機して検査に20分、そのあとの待機に1時間くらいだったので、2時間半くらいで薬の効果というか体内の放射線が弱まるのだろう。

予定していた時間が経過したので待機室を出てそのまま自宅に帰ることに。

「今日は会計はありませんからそのままおかえりください」

と言われたのでよっぽど病院内に長くとどまるとまずいのだろう。

妊婦さんや小さいお子さんにはなるべく近づかないように気をつけながら家路についた。

 

明日はPET検査の結果を聞く。前日からドキドキがとまらない

12クール目の抗がん剤投薬後から13日経過。

やはり抗がん剤治療を12回も受けるとそれなりの副作用があるのか13日経過した今でもそこそこキツい。

肌の疾患、指先の痺れ、倦怠感に加え舌の痺れの回復が遅い気がする。

今日の昼食にカレーを食べたけどあまり味が分からなかった。

カレーくらい味がはっきりしている食べ物も無いとは思うが、それでもただ舌の上にザラザラした感触が残るだけでカレーとしての味わいは二割程度しか味わえてなかったような気がする。

震えて明日の結果を待つ

いよいよ明日はPETCT検査の結果を聞く日だ。

今はまるで判決を言い渡されるのを待つ被告人のような気持ちになっている。

死刑宣告か、それとも執行猶予つきの懲役刑なのか、一体どっちなんだろう?

今の心境としては僕は癌とは一生付き合っていかないといけないと思っている。

だから無罪放免はありえないと自覚している。

今回の検査でいい結果が出たとしても細胞レベルでは癌細胞が全く残っていないとは言い切れない。

小さな小さな癌の種が見つからずに知らないところで育っていくかもしれない。

そんな再発の恐怖にとらわれながら生きていくのはさながら執行猶予付きの懲役刑のようだ。

全ての人は最終的には死に至る。

ただその死がどのタイミングで現実味を帯びて自分に近づいてくるかどうかで生き方が変わってくる。

自分の真後ろに死が迫ってきているのが分かっているのに見ようとしない人、

まだ死は遠くにいるのにパニックを起こす人、

受け入れる人、

あきらめる人、

あがく人、

悲しむ人、

震える人。

 

僕は震えている。

死という孤独に、その寂しさに震えている。

明日、PETCT検査の結果が出る。

死はどこまで僕に近づいてくるのだろうか。

目の前に来るのか、はるか遠くにうすぼんやり見えるところなのか。

今考えてもしょうがないけど、考えてしまう。

こういう時、大きく分けて二種類の考えの人がいると思う。

ポジティブな未来、結果を想定する人。

もしくはその逆にネガティブな未来、結果を想定する人。

僕はどちらかというと後者のネガティブな未来や結果を想定する方だ。

今までの経験上、ポジティブな未来や結果を想定して、結果がそうでなかったときにガッカリしたくないのだ。

期待した分、期待を裏切られる結果になるとダメージが倍増してくるような気がして怖くなる。

正直今はドキドキしている。

心のなかでは

「きっと大丈夫、いい結果が出るよ」

と言ってる自分がいるが、それは上っ面のほうで自分を慰めている自分で、精神のひとつ深く入った自分は

「悪い結果が出たらどうしよう…」

と恐れ怯えて震えている。

こういうときは別のことを考えてた方がよっぽど建設的なのに、こんな時に限って自分が思い描く「いい結果」と「悪い結果」の間を行ったり来たりしてきりきり舞いしている。

僕はよっぽどこの遊びが好きなんだなあと、我ながら感心する。