抗がん剤治療終了後2か月目の血液検査とCT検査。「今回はセーフ」【がん闘病記118】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2017年の3月上旬に書いたメモをまとめています。
抗がん剤治療終了から2か月たって残っている副作用と異常な食欲
2017年3月。
抗がん剤治療終了後から約2ヵ月経過
今日で抗がん剤治療が終了して2ヵ月が経過したことになる。
副作用としては指先の痺れがまだあるのと、肌の異様なかゆみくらいだ。
倦怠感や下痢、吐き気などはすっかりおさまった。
肌にできていた湿疹や色素沈着で黒くなっていた肌の色も治まってきてはいるものの、その代わりにここ1ヵ月は肌の異様なかゆみに悩まされ続けている。
セレスタミンの副作用なのか、食欲がすごい
そのかゆみを抑えるためにステロイドが配合された強めの飲み薬(セレスタミン)を処方してもらっているが、今度はその薬の副作用のせいか食欲がすごいことになっている。
とにかくたくさん食べるようになった。
特に甘いものをよく食べるようになった。
癌の手術をしてからほとんど口にすることがなかったチョコレート系の甘いお菓子をこれでもかと食べている。
糖分(ブドウ糖)は癌細胞の好物なのであまりとらないほうがいいのは癌関連の書籍を読んで分かっているのだが、どうにも抑えられない。
食べないで我慢していると、たまらなくイライラしてくる。
まるで禁煙しているときにタバコを我慢しているような感覚。
お陰で体重もすっかりリバウンドして、癌発覚以前の体重である75㎏に戻ってしまった。
この甘いものがたまらなく欲しくなる原因が、薬の副作用なのか身体が元の体重に戻ろうとしようとしているせいなのかは分からないがこの食欲はちょっと異常だ。
かゆみでイライラし、甘いものが食べたくてイライラする。
何が原因なのかはっきり分からないのがつらいところだ。
なにせ抗がん剤を身体に入れたことも抗がん剤を辞めたことも、どちらも初めての経験だからどうにも判断しようがない。
とはいえ元気になってきた
しかし抗がん剤治療もひと段落し、休薬期間を長くおくことで副作用も治まってきて、身体の調子も以前にくらべれば格段に良くなってきた。
以前は未開封のペットボトルのふたも満足に開けられないほど弱っていたが、ここのところかなり元気になってきたと思う。
それに1ヵ月目の経過観察の検査も問題なかったせいか、最近は自分が癌患者であることを忘れがちになってきている。
1日の中で自分が癌患者であるということを考える時間が減ってきている。
ネガティブなことを考えないで済むのは大いに結構なことだと思う。
大腸がんになる人の原因の一つにストレスがあるという。
ストレスになるようなことは考えないで済むならそれに越したことはない。
でもそうなると癌と診断される以前のわがままで傲慢、横柄で怠惰な自分が顔をのぞかせてくる。
ふりかえれば大腸がんのステージ4を告知されて僕はすっかり怯えきっていた。
以前ははるか遠くに見えていたと思っていた「人生の終焉」というものが目の前に現れ、僕の胸倉をつかん僕の顔の目の前にいるように思えた。
その恐怖にひどく混乱し、怯え、慌てふためいた僕は自分の人生と真摯に向き合いまじめに丁寧に生きようと決意した。
でも抗がん剤治療が終わり、しばらくして身体の痛みや苦しみが消えていくと目の前にいたと思っていた「人生の終焉」がまたはるか遠くまで離れていったような気がした。
そうなると「のど元過ぎればなんとやら」ですっかり安心し、油断して生きている。
もしかしたらこの先いつかはまた癌が再発するやもしれないのに、そんなことはすっかりどこかに置いてきてのんきに生きている。
こんなことでいいのだろうか?と不安になることもしばしば。
がん再発の可能性を内包している限りは癌患者をやめることはできない
しかし、考えてみれば「癌と診断される以前の僕」と「今の僕」とではやはりはっきり違っているわけで、癌が僕に教えてくれた沢山のことをすっかり忘れ去ってしまっているわけではない。
ステージ4の癌という劇薬の後味は僕の喉の奥にまだ焼きついている。
これが完全に消え去ることはないだろう。
それほどまでに癌と診断され手術をし、抗がん剤治療が終了するまでの期間は精神的にも肉体的にもつらい日々だった。
今の経過がいいからと言って僕が癌患者を辞めることはできない。
今この瞬間も僕は癌の再発の可能性を内包している。
僕の目標は「幸せな癌患者になる」ということだ。
だからこのまま幸せになっていけばいい。
癌患者のままで。
散歩に出る。
3月の乾いた晴天が冷たい風を運んでくる。
なんて気持ちがいいんだろう。
またこんな気分を味わえるなんて思ってもみなかった。
ありがとうありがとうありがとう。
抗がん剤治療終了後の経過観察2回目の検査結果
抗がん剤治療終了後から2ヵ月と10日経過
今日は2回目の経過観察で血液検査とCT検査をしに病院に来ている。
結果から言うと血液検査の腫瘍マーカーも範囲内の数値でCT検査も問題ないとのことだった。
担当医のウエノ先生がにこやかに検査結果について話しながら最後に
「今回はセーフ!」
と明るく言っていた。
しかし、いつも検査の前は不安になる。
もしかしたら再発の予兆がでるのではないかと不安になる。
抗がん剤治療が終わってからというもの、僕は結構のんきに過ごしていた。
もしかしたらこのまま何事も無く日常に戻ることができるのではないか、と何となく考えていた。
でも最近ネットで癌のことを調べるうちに、おそるべきデータにたどり着いた。
ある研究機関のデータによると、大腸癌のステージ4の患者の5年内生存率(手術から5年後に生存している患者の割合)はわずか13%だということ。(※サイトによってデータに若干違いがあります)
裏をかえせば5年以内に87%の大腸癌ステージ4の患者は死に至るということなのか。
そう考えると恐ろしい。
今回、検査結果を話した診察の最後にウエノ先生が言った言葉が少しだけ引っかかる。
「今回はセーフ」
先生としてはなんら意図なく言った言葉だろうが、その言葉の裏に僕はこの病気の再発の可能性の高さを見たような気がした。
「今回『は』セーフ」の『は』の部分に。