44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

9クール目のアバスチン抗がん剤の投薬で3日間入院する

9クール目のアバスチン抗がん剤の投薬で3日間入院する

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の6月中旬に書いたメモをまとめています。2018年の年末から開始したアバスチン抗がん剤治療(FOLFIRI療法)も9クール目に入りました。

9クール目アバスチン抗がん剤投薬での入院初日

朝起きてみての体調はまあまあといった感じだが、なんだかダルイ感じもする。

これから始まる抗がん剤治療が嫌で、気分が落ち込んでいるせいなのか、もしくは前回までの抗がん剤の副作用の影響なのか。

朝9:30ごろ病院に到着し、いつものように入院手続きを済ませた後、採血を受け問診に呼ばれるのを待つ。

血液検査の結果が出るまで1時間以上は待たないといけない。

問診に呼ばれるのを待っている間はやはりいろんなことを考えてしまう。

抗がん剤はあくまでも延命手段なのか

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おそらくはこれから苦しい抗がん剤が始まるが、これはあくまで延命のためのもの。

癌寛解。根治の期待度は少ない。

抗がん剤治療は明るい光に向かっていくものではなく、闇に飲み込まれないように踏みとどまるようなもの。

闇に引き込まれそうになるところを踏ん張って耐え続けているが、自分でも気づかないうちにズルズルと引きずられるように闇の領域に近づいているのではないか?と不安になる。

とてつもなく大きな不安。

自分が滅んでいくイメージ。崩れ落ち、朽ち果てていく古い廃墟のように、最後は風に吹かれてすべて消えて無くなってしまうような不安。

こんなことを考えていてもしかたがないことは分かってはいるが、ついつい考えてネガティブなサイクルに入ってしまう。

今日はいつになく弱気である。

問診でショッキングなことを言われる

10:50ごろ、問診に呼ばれる。

血液検査の結果、白血球の数値が低めだが、抗がん剤治療ができないほどでもないので、予定通り9クール目の抗がん剤治療が開始されることになった。

そして今月の下旬にも経過観察のCT検査をしましょうという話に。

ふと担当医のアマキ先生のデスク上にあるパソコンのモニターを見ると、「前回のCT検査ではSD(腫瘍の大きさに変化がない)」と書いてあった。

(前回のCT検査は2019年3月)

そして先生から衝撃的なことを言われる。

「前回のCT検査では『増大はなし』ということでしたが、今やっているアバスチンも9クール目になりましたので、そろそろ増大傾向になるかと思われます

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「えっ…」

「効き目のない薬をずるずると使い続けることもどうかと思いますので、次回はCTの結果を見つつ、お薬の変更についてもお話ししないといけないかもしれません」

「はあ、そうですか…」

そして今回の抗がん剤治療が終わった数日後にCT検査をする予定を立てて、問診は終わった。

先生は僕が診察室に入ったときに「大腸がんガイドライン」に目を通していたので、平均的な大腸がん患者の傾向として、そろそろ薬が効かなくなってくる頃合いだろうという認識なのだろうか。

やはり医師の認識としては「抗がん剤はせいぜい死ぬまでの時間稼ぎ」程度の考えなのかなという印象を受けた。

これほどまでに苦しい抗がん剤治療をしてもせいぜい時間稼ぎにしかならない。それも回数を重ねれば効き目も薄れて時間稼ぎすらできなくなるというのか。

「増大」という言葉は僕にとって、とても恐ろしい言葉だ。

死に向かって一直線に進んでいる感じがする。

ブレーキの壊れた自転車が急な坂道を猛スピードで滑り落ちるように、破滅に向かってなすすべもなくハンドルを握りしめ身体を固くするだけ。

怖い。

どうしようもなく怖い。

「いや、そんなことはない。きっと大丈夫だ」と自分を奮い立たせようとするが、そんなカラ元気は瞬く間に真っ黒な恐怖で塗りつぶされてしまう。

なすすべが無い。

小さな蟻が巨像に立ち向かっていくように、僕は恐怖に対してあまりにも無力だ。

どうすればいい?どうすれば助かることができるのか?

死にたくない。

苦しみたくない。

もっと元気でいたいのに。

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薬剤師さんに抗がん剤の副作用でのどの違和感、色素沈着について聞く

ロビーで病棟に上がるのを待っていると、担当のカワノ薬剤師さんが通りがかったので、ここのところ感じていた抗がん剤の副作用について聞いてみた。

ひとつはのどの違和感で、食べ物が少し飲み込みにくいことような、なんだかのどに引っかかるような違和感を感じている。加えて痰のようなものもたまに出るので、そのことについて聞いてみた。

のどの違和感はアレルギー反応として現れるらしく、通常は投薬開始から2~3日でおさまるらしい。風邪を疑ってみたが、白血球の数値が上がっているわけでもないので、原因としては不明みたいだ。

そしてもうひとつは色素沈着によって肌が浅黒くなることで、久しぶりにあった人に

「なんだか日焼けしたね~」

と言われることが多いので、副作用として色素沈着が出るのか聞いてみた。

答えとしては今やっている抗がん剤の副作用として確かに色素沈着で肌が黒くなることはあるらしく、主に最後の長い点滴(5-FU)の副作用でその症状がみられるらしい。

これまでアバスチン抗がん剤(FOLFIRI療法)も8クールもやってきたのでそれなりに症状は重なって来ているのだろうとのことだった。

病棟に上がり、抗がん剤の投薬開始

11:00ごろ病棟に上がる。

13:40ごろ、点滴開始。

16:50ごろ、最後の点滴開始。

20:00ごろ、追加の吐気どめしてもらう。

21:00ごろ、睡眠導入剤のゾピクロンを飲んで寝る。

9クール目アバスチン抗がん剤投薬での入院2日目

朝起きてみての体調は、昨晩よりはマシだが抗がん剤の副作用で苦しいことには変わりない。特に吐き気と倦怠感がつらい。

体温は37℃くらいで高めだが、抗がん剤の副作用で上昇傾向にあるとされている血圧はとくに異常はなかった。

しかし体調としては副作用からの吐き気もありつらいので、一日中病室のベッドの上で横になって過ごす。

何もする気にならない。ただつらい。

21:00ごろ、睡眠導入剤のゾピクロン飲む。

21:30ごろ、吐き気が上がってきたので、ナースコールして吐き気止めのナウゼリン飲む。

9クール目アバスチン抗がん剤投薬での入院3日目(最終日)

朝起きてみての体調は、昨日よりはマシといったところ。

吐き気は続いているが、朝の時点では吐き気止めを飲むほどでもなかった。

14:30ごろ、点滴終了。

同時刻、看護師さんにお願いして、吐き気止めの錠剤ナウゼリンを飲むことにした。

もう退院するので吐き気止めを飲もうかどうか迷ったが、自宅に帰ってもこの吐き気は続きそうなので早めにオーダーすることにした。

フラフラになりながらなんとか帰宅

入院中はほとんど食事はとらずに水かお茶だけだったので、フラフラになりながら帰宅する。自宅に戻ってからは栄養ドリンク(リポビタンFINE)と温めた豆乳を時間をかけて飲んだ。

自宅に戻ってからも抗がん剤の副作用として、吐き気と倦怠感と喉の違和感、そして少し咳が出ていた。

いつもながら抗がん剤の投薬直後は吐き気と倦怠感に悩まされる。

つらくてつらくていつも嫌になるが、生きていくためには仕方ないと思って毎回続けている。

 

そしてこの時の僕はまだ分かっていなかったが、これまで続けてきたこのアバスチン抗がん剤(FOLFIRI療法)は今回の9クール目で終わることになる。

効き目の無い薬を使い続けても仕方がないという理由で。