陽子線治療について鹿児島の医師とテレビ電話でセカンドオピニオン
陽子線治療について鹿児島の医師とテレビ電話でセカンドオピニオンを受ける
この記事ではヨシノ(id:yo_kmr)が2019年の8月の下旬に書いたメモをまとめています。鹿児島の指宿にある陽子線治療の施設である「メディポリス国際陽子線治療センター」の福岡オフィスでテレビ電話を介して鹿児島にいる医師からセカンドオピニオンを受けた時のことです。
テレビ電話でセカンドオピニオンを受ける時代に
2019年8月。
今日は福岡県の博多にきている。
目的としては博多駅近くにメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスがあり、そこで鹿児島にいるメディポリスのドクターとテレビ電話でセカンドオピニオンを受けることになっている。
テレビ電話で遠く離れた医師と面談するなんて、すごい時代になったものだ。まさに未来がきたって感じだ。
以前メディポリス国際陽子線治療センターの出張説明会が僕が住んでいる市内であったので、そこで説明会のあとの個別相談を受け、陽子線治療ができるかどうか問い合わせてもらっていた。
その数日後メディポリス国際陽子線治療センターの事務の方から連絡があり
「福岡オフィスでテレビ電話を使ってセカンドオピニオンを受けてみませんか?」
と提案された。
陽子線治療の説明会を受けた僕としては
「治療費は高額になるけど、がん縮小の可能性があるならぜひ陽子線治療を受けてみたい」と思っていたのでセカンドオピニオンを受けることにした。
セカンドオピニオンを受ける場合、自由診療として受けることが多いので、費用の方はどうなのか尋ねると、
「特に料金はかかりません」
とのことだった。
テレビ電話だからなのかメディポリス国際陽子線治療センターが特殊な施設なのか分からないけど、自由診療のセカンドオピニオンだと1時間で2万円以上費用がかかるのでその点ではありがたいと思った。
このような経緯をへて今日博多のオフィスでテレビ電話を介してのセカンドオピニオンを受けることになった。
場所はあらかじめネットで調べておいたので特に迷うことなく時間通りに到着することができた。
こじんまりとしたオフィスでのセカンドオピニオン
雑居ビルの2階にあるメディポリス国際陽子線治療センターの福岡オフィスに着く。
オフィスはこじんまりとした感じで一部屋をパーテーションで二つに区切ってあって、長机とカメラとモニターが設置している部屋へ通された。
僕が席に着くと案内してくれた福岡オフィスの人が電話で鹿児島のドクターを呼び出した。
「先生、準備ができましたのでお願いします」
すると前面のモニターに鹿児島のメディポリス国際陽子線治療センター勤務であろう初老の医師が映し出された。
先進医療扱いでの陽子線治療はむずかしい
これからテレビ電話を通じての医師との面談が始まったが、結論から言うと僕の病状では陽子線治療はむずかしいという結論だった。
僕の病状に関するデータは鹿児島の方に既に送られていて医師はそれを見ての判断だと思われる。
理由としては僕がステージⅣと診断された要因のひとつである腹膜播種の場合は、先進医療の適用内に入らず、もし治療をするなら自費診療で行う必要があるという。
先進医療の適用にならない理由として、国からの締め付けというか、先進医療としての使用条件が厳しくなってきていて、基本的には「限局性固形がん」のみに先進医療としての陽子線治療が適用されている。「限局性固形がん」とは狭い範囲にできているがんで白血病など血液のがん以外を指す。そして腹膜播種は限局性固形癌に当たらないそうだ。
そして再発が見つかった場所がひとつではないので、もしかしたらまだCTに映らない癌も潜在的にある可能性があり、陽子線でひとつふたつをたたいてもあまり意味がないかもしれない。というのが医師の見解だった。
医師の考えとしては治療方針として陽子線の他に抗がん剤の変更も検討されてるようなので、陽子線治療よりはそちらの方を継続される方が良い思います。ということだった。
加えて実施している病院は少ないが、お腹に直接抗がん剤を流し入れる「腹膜灌流療法」(ふくまくかんりゅうりょうほう)というものがあるということを教えてもらった。
こういった新しい情報をもらうのはありがたい。腹膜灌流療法についてはネットで調べてみますと言い、ドクターにお礼を言ってテレビ電話を使ったセカンドオピニオンは終了した。
テレビ電話を使ったセカンドオピニオンを受けてみての感想
医師から「治療はむずかしい」ということを聞いているあいだ、背中が冷たくなるような感じがした。治療の可能性がまたひとつ遠のいていく。
あまり期待はしないでおこうと自分に言い聞かせていたが、正直言ってこの陽子線治療にかけていた部分は大きい。
何よりも魅力的だったのが「がんの縮小が期待できる」ということと「副作用に苦しむことがほとんどない」ということだった。
僕の現状としては標準治療の抗がん剤ではがんの縮小はむずかしいと考えていたので、もしがんが小さくなるのなら何をおいても優先すべきだと思っていたし、これまで何度も苦しい抗がん剤治療をやってきて「もう二度と抗がん剤はやりたくない」と思っていたからあの苦しみから解放されるなら300万円以上治療費がかかっても安いものだと思っていた。
もしも治療ができるなら、ここから遠く離れた鹿児島の指宿に長期滞在することだってどうってことなかった。そればかりか、
「鹿児島滞在中にパソコンが使えないと困るから外出用のノートパソコン買おうかな~」
とか
「滞在中の食事はどうしよう?鹿児島名物でおいしいものって何だろう?」
とか
「治療以外の時間はどうやって時間をつぶそう名所とか行ってみようかな~」
などと決まってもいない鹿児島行きに期待し、胸を膨らませていた。
残念だ…
今はとてもがっかりしている。
内定がもらえない就活生のような気持ちになっている。
好きな子に告白してフラれたときのような気持ちになっている。
はああああ…悲しい…
つか、僕の医療データが事前に鹿児島に届いているんだったらわざわざ博多までこなくてもよかったんじゃないか?
電話で教えてくれれば済むことだったんじゃないだろうか。
メディポリスの営業の人も医師との面談までこぎつけたという実績が欲しかったのかな?なんて邪推をついしてしまった。
とりあえずだめなものはしょうがない。気持ちを切り替えていかないと。
と理性的には考えるけどやっぱり悲しいなあ…