抗がん剤の副作用と食生活について考える【がん闘病記36】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の7月中旬ごろに書いたメモをまとめています。
- リザーバー留置手術の傷口の抜糸のため病院へ
- 抗がん剤投薬後から6日たっても倦怠感はとれず
- 抗がん剤投薬後から7日たってこれまでの副作用について考えてみる
- 今が元気のピークかもしれないので、残りの休薬期間は旅行に行くことに
リザーバー留置手術の傷口の抜糸のため病院へ
2016年7月。
1クール目の抗がん剤投薬後から5日経過
今日は総合病院にリザーバーを体内に埋め込む手術の時にできた傷口の抜糸にきた。
担当医のウエノ先生は僕の顔を見て、副作用の兆候があまり出てない事に安心しているみたいだ。
先生は抜糸をしながら
「副作用の兆候も軽いようだし、傷口も別に化膿してないから大丈夫そうですね」
と明るく言った。
こういう医師の明るい振る舞いは患者にとってとても助かると思う。
ついつい先生の前にくると癌や化学療法の副作用などネガティブなことを聞かされるんじゃないかと思って深刻になってしまいがちだが、明るい笑い声で気分がほぐれる。
日常の生々しさ
先生が抜糸の作業をしながら独り言のようにボソッと言う。
「仕事もしていかないとねえ………って梅雨のこの時期はできないか」
先生には癌を告知されて以降、仕事を辞めた事は言っていないのでまだ僕が塗装業を続けていると思っているみたいだ。
しかし、その「仕事」という言葉が僕にとってしばらく遠ざかっていた日常の生々しさを思い出させてくれる。
僕はまた仕事ができるようになるのかな。
抗がん剤治療を続けながら仕事ができるのかな。
ただ、座して死を待つのみ。
なんてことはしなくていいんだろうか。
社会と関わって誰かの役に立てる生き方ができるようになるのだろうか。
僕は仕事がしたい、僕のやりたい仕事を。
そうやって生きたいと思うことは、希望をもつことはステージ4の癌を診断された今の僕にとっては厚かましいことなのだろうか。
抗がん剤投薬後から6日たっても倦怠感はとれず
1クール目の抗がん剤投薬後から6日経過
抗がん剤治療を終えて今日で6日目。
いまだに倦怠感は取れず。
今朝の時点では倦怠感のつらさの度合いを1から10で例えると2か3くらいに思えた。
しかし今日は所用のために一日中車で遠出をして疲れたせいか夕刻になって家に帰ってからの下痢と倦怠感が酷い。
あと妙に唇が乾燥してガサガサになっているような気がするので薬局に行ってリップクリームを買ってつけることにする。
夕刻になって倦怠感のつらさの度合いも増してきて1から10で例えると2か4くらいになっていると思う。
酷い下痢も倦怠感のつらさを底上げする原因の一つになっているのかもしれない。
抗がん剤投薬後から7日たってこれまでの副作用について考えてみる
1クール目の抗がん剤投薬後から7日経過
抗がん剤治療を終え7日目にしてやっと倦怠感が取れてきたように思う。
相変わらず下痢はあるがしょっちゅうトイレに行っておかないといけないって程でもなくなった。
倦怠感のつらさ度合いも1から10に例えると1か2ってところだと思う。
もしかしたら波があってまたぶり返しが来るかもしれないので油断しないでおこう。
化学療法だけでなく自分自身でできること。食生活について考えた
それと食生活について少し考えてみた。
最初の癌摘出手術から退院してからというもの、この際だからと結構自分が好きなものを好きなだけ食べてきた。
なので結果的に入院・手術で5㎏ほど減った体重が3㎏くらいリバウンドしたと思う。
そのあとに始まった抗がん剤治療を終えた後も食欲不振はあるものの自分が食べたいものを食べたいだけ食べてきた。
しかし化学療法の副作用での食欲不振からか量としてはそんなに食べられなかったのでリバウンドした分は徐々に体重も減っていった。
果たしてこれらの食生活が癌患者として好ましいのかどうかと問われれば疑問ではある。
とりあえず先生からは禁止されている食べ物はないし、飲酒もほどほどなら別に構わないと言われている。
だからと言って好き放題やりたい放題やることが身体に良いワケはないということはなんとなく分かる。
ただ標準治療である抗がん剤に頼るだけではなく、自分自身でできることもあるはずだ。
今後はその点もいろいろ考えるべきではあると思う。
副作用について考える
そして副作用についても考えてみた。
1回目の3日間に及ぶ抗がん剤治療を終えて休薬期間を7日経過した今日までを振り返ってみて、主な副作用は倦怠感と下痢と肌の湿疹・かゆみだった。
あと、それら以外に軽微ではあるが「舌の感覚の変化」と「匂いに敏感になる」という副作用もあった。
朝起きるとなんだか口の中が苦いような気がする。
「気がする」ってだけで実際に苦さを感じるほどではなかったが確かに舌の感覚は変化していると思う。
あと匂いに敏感になる。
実際のところ、嗅覚の変化は抗がん剤治療の最終日くらいから出始めていた。
検温や血圧を測りにくる看護師さんの匂いが気になる。
匂いといっても体臭などではなく、看護師さんのナース服のクリーニングされた洗剤の匂いとか消毒液のような匂いが嗅覚が敏感になったのか気になっていた。(さすがに看護師さんには言わなかったけど)
舌と匂いの感覚の変化、味覚と嗅覚が抗がん剤の副作用で影響を受けているせいか今まで自分が食べてきておいしいと思っていたものがあまりおいしく感じなくなってしまった。
とはいえ今まで感じていたおいしさを10とすれば9か8くらいに減っただけだけど。
それで思ったことが、「おいしくないと思うのなら無理して食べなくてもいいのではないか」ということ。
抗がん剤治療のあとは消化がよくて塩分少なめのものを無理のない程度にとればいい。
そして体調が戻ったらおいしいって思えるものを存分においしいって感じながら食べればいいのだと思う。
まあ、忘れがちだけど僕は病人。
修行僧みたいな精進料理ばかりはさすがにいやだけどストレスを感じない程度に無理なく健康的な食生活ができればいいかなと思う。
今が元気のピークかもしれないので、残りの休薬期間は旅行に行くことに
1クール目の抗がん剤投薬後から8日経過
倦怠感は取れてきたように思うが昨日とあまり変わらない気もする。
下痢も少しだけ。
あと気になるところは唇の感覚。
昨日までは乾燥してガサガサになる感じだったが、リップクリームのお陰かは不明だが乾燥はしなくなった。
その代わりに唇全体がピリピリとしびれるような感じがする。
しびれるといってもほんの軽微なものでちょいと気になる程度だ。
伊勢神宮には一度行ってみたかった
さて、話は変わるが明日から二泊三日で旅行に行ってこようかと思っている。
大腸がん摘出手術での入院中に「死ぬ前に行ってみたいところがあるとすればどこだろう?」という問いを自分自身に問いかけてみたらとりあえず手近なところで「伊勢神宮」という答えに行きついた。
ハワイとかニューヨークとかもちらっと思い浮かんだけどさすがに海外旅行はハードルが高いし、今は抗がん剤治療の真っ最中なので万が一のことを考えるとちょっと難易度が高いと思う。
それにそこまで無理を通して行きたいか?というとそうでもない。
それに比べたら「伊勢神宮」は国内だしグッと難易度は下がる。
ネットで調べると北九州空港から名古屋(小牧)空港までの便があるようなので、ついでに名古屋大阪方面の観光などもできればと思っている。
今日までの数日間で抗がん剤の副作用に苦しみつつも旅行の計画を立て、ネットでチケットの予約などもした。
まだ抗がん剤治療は12クールのうちの1クールが終わっただけなので、これから抗がん剤治療を重ねていけば副作用の度合いも今よりひどくなることは明らかだ。
もしかしたら今が、今のこの瞬間が僕のこの先の人生の中で一番元気な時なのかもしれない。
最悪の場合はこの先抗がん剤も効かず、癌も身体じゅうに拡がって弱っていくだけになるのかもしれない。
身体が弱って次第に制限されることも増えてゆき、縮まっていくだけの人生。ただ収束していくだけの人生になるのかもしれない。
「元気なうちにやっておけばよかった」
「こうなる前にやっておけばよかった」
「あのときすぐに行動していればよかった」
この先できることならこんなことは言いたくはないし、後悔もしたくない。
僕にはもう物事を先送りにする時間は残されていない。
思い立ったらすぐに行動しないと。
うかうかしてると人生は容赦なく薙ぎ払われるように終わってしまう。