ステージ4のがんだと診断されてからの精神的なポジティブとネガティブの波【がん闘病記27】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の6月下旬ごろに書いたメモをまとめています。
感情の揺らめき
2016年6月。
退院から9日目の朝。
不安と悲しみの中で今日も目を覚ます。
どうも熱っぽい気がしたので体温を測ってみるがいたって平熱。
気のせいだった。
しかし、今日は昨日に比べてなんだか気分が落ち込んでいるような気がする。
結構つらい。
胸を深くえぐるような虚無感というか、にぶい倦怠感みたいなものを身体全体で感じている。
まだ抗がん剤治療も始まっていないのに今からこんなことで大丈夫なのだろうか?
少し心配にはなるが、今までの傾向からしてこれは「波みたいなものだ」と自分自身で分析する。
感情の浮き沈みというか、ポジティブとネガティブの間を行ったり来たり。寄せては返す波のようにそれらが交互に訪れるものなのではないかと自分自身で客観的に分析してみる。
ネガティブの大波とポジティブの小波
僕の心情を振り返れば、がん進行度ステージ4の癌を告知された直後はどす黒いネガティブの大波が僕の心の中を真っ黒に覆いつくして暴れまわり、ただただそれに流されるだけだった。
しばらくの間はその大波に翻弄され、もみくちゃにされてつらい時期が続いた。
この先ずっとこんな精神状態が続くのかと憂鬱になったが、意外にもそれはそれほど長くは続かなかった。
すべてを覆いつくしていた真っ黒なネガティブの波は日を追うごとに徐々に引きはじめ、そのかわりに小さいけど白く泡立ったポジティブの小波がゆっくりとではあるが、僕の足元をくすぐるように覆っていった。
精神状態でいうと、どん底の状態から少しだけマシになったというだけだけど、どん底のまま居続けるよりかは全然よかった。
そして今、そのポジティブの波が引いてまたネガティブの波がやってきただけのこと。
その波は黒く僕の足元を冷たく冷やすけど、その状態があまり長く続かないことも今では理性的に理解できている。
止水明鏡とはいかないけれど
月の満ち欠け、潮の満ち引き、吸っては吐く呼吸のようにポジティブとネガティブの間を行ったり来たりしているのだと思う。
止水明鏡(邪念が無く澄み切って落ち着いた心の状態)とは言うけれど、未熟な僕にはとてもじゃないけどその境地にはたどり着けそうにない。
でも別にいいや、と思う。
僕はこれでいい。
不安になったり恐れたり、少しだけ楽観したり。
これが僕なんだと思う。
気分の落ち込みの推移
気分の落ち込みはこのように浮き沈みを繰り返しながら徐々に回復していってるように思われる。
「時間が薬」なんて言葉があるように受け入れがたいネガティブなことがらも時間をかけてゆっくりと受け入れていけるものなのかもしれない。
喜びも悲しみも人の持つ「忘却の魔法」によって日々薄められ解体されていく。
どんな感情もその心の中心に居座り続けることは人間の性質として難しいことなのかもしれない。
つらかったり悲しかったり大変な感情の中心にいるときはこのつらい感情が永遠に続くように錯覚しがちだけどそれは幻想であると思う。
年がら年中「つらいよ~」って言う人もいるかもしれないけど、そんな人だってとってもつらい時期とほどほどにつらい時期を行ったり来たりしているのではないかと思う。
寄せては返す波のように。