抗がん剤の副作用?抜け毛がエグい問題と高価な絆創膏【がん闘病記56】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の8月下旬ごろに書いたメモをまとめています。
4クール目の抗がん剤治療から6日目
2016年8月。
倦怠感は昨日より微妙にマシって感じで4くらい?
食欲はあまりないけど朝、コンビニのミートソーススパゲティ、昼にざるそば一人前を食べられた。
夜になると食欲が無くなるので果物のみ。(主にスイカ)
指先のひび割れは相変わらず。
下痢の兆候も出だした。
夕方くらいから少し下痢気味だ。
シャンプーの時の抜け毛がエグい問題
3クール目の抗がん剤治療が終わってからだろうか、入浴時にシャンプーで髪を洗うとき頭をゴシゴシすると手につく抜け毛の量がちょっと引くくらいつくようになった。
なんていうかこれまでとは明らかに違う量で束になって抜けているみたいだ。
僕が今受けている抗がん剤治療(ベクティビックス)の抜け毛について以前聞いてみたところ、担当医のウエノ先生からは「副作用として髪の毛が抜けることはあまりないんですよ」と言われていた。
そして抗がん剤治療を受ける前にもらった小冊子「ベクティビックスによる治療を受ける患者さんへ」を見ても予測される副作用の中で「抜け毛」の項目は無かったので少し動揺する。
このまま抜け毛が酷くなって落ち武者みたいになるくらいならいっそのこと丸坊主にしてしまおうと思うが今のところまだ大丈夫みたいだ。
しかしここで重要な問題が一つある。
この抜け毛が抗がん剤の副作用と関係なく、偶然このタイミングで加齢による抜け毛が始まったとしたら大ショックだ。
もしこの抜け毛が抗がん剤の副作用によるものなら、仮に将来抗がん剤をやめることができるような状態なれば薄毛の進行は止まる、もしくは髪のボリュームも抗がん剤使用前に戻る可能性はある。
でも、これが加齢による薄毛の進行なら髪の毛のボリュームは減る一方になるだろう。
弟はすでに薄毛が進行していて髪型も年中坊主頭だ。
僕と弟では髪質は全く違うので僕はハゲないものだとタカをくくっていたが、もしかしたらハゲてしまうかも…最近頭を触ったときの髪のボリューム感が明らかに違う。
なんかスカスカした軽い感じだ。
手櫛がなめらかに通る。いや通り過ぎるくらいだ。
まだ見た目にはわからないけど、見た目にもみっともなくなって来たらとっとと坊主にしてしまおう。
4クール目の抗がん剤治療から7日目
倦怠感は昨日とあまり変わらず4くらいかな?
食欲は無いけど朝はコンビニで買ったハンバーガー、昼は吉野家の牛丼を食べた。
相変わらず舌が痺れているからイマイチ味は感じないけど痺れ具合が少し緩和されてるようで60%くらいはおいしく感じられる。
舌が多少麻痺していてもしょうゆ系の味は味覚として比較的感じやすいのかな?とも思う。
吉野家の牛丼にいたっては牛丼そのものはあまりおいしく感じないけど紅ショウガをたくさん入れて食べるとおいしく感じた。
牛丼を食べに行っているのではなく、紅ショウガを食べに行っているようなものだ。
高価な絆創膏、キズパワーパッド
抗がん剤の副作用からくる指先のひび割れ、特に爪のそばがさかむけてなかなか治らず膿んできた感じになってきた。
爪に関しては他にも爪半月の部分がなんだか黒ずんできた感じもする。
さかむけの対策としてキズパワーパッドなる商品を近所のドラッグストアまで買いに行くことにした。
キズパワーパッドは入院していた時に薬剤師さんが教えてくれたもので普通の絆創膏に比べて傷の直りが早いらしい。
最寄りのドラッグストアまでいって商品が陳列されている棚の前まで行って衝撃を受けた。
なんだこの値段は?
いつも買ってる普通の絆創膏は100枚入りで198円だけどキズパワーパッドは6枚入りで798円。
798円?!6枚入りで?
1枚につき100円以上する。
安売りで評判のこのドラッグストアで798円とは…
「うわあ、こんな高価な絆創膏があるのか!」
少し買うのをためらったがこれで治るならと買ってみた。
貼ってみて分かったけど、キズパワーパッドと普通の絆創膏の違いは明らかで、普通の絆創膏がテープに消毒液等の薬液を染みこませたガーゼを貼っているだけなのに対してキズパワーパッドは全体がゲル状というかプニプニした素材でできていて、それが傷口をしっかりと包み込んで直していく仕組みになっており、普通の絆創膏とは作りが根本的に違うみたいだった。
つけてみると傷口の部分に反応しているのか少し白く変色して膨らんできた。なるほど高いだけあってちょっとは効果があるのかな?と思う。
頓挫する 早寝早起き計画
夜は抗がん剤の副作用が朝と昼に比べてつらくなるような気がするので早寝早起き計画を立てる。
午後8時には入浴を済ませて9時には睡眠導入剤を飲んで寝てしまおう。と思ったが、今これを書いている時点ですでに午後9時を回っている。
まだ入浴も済ませていない。
なんてことだ、いきなり計画が頓挫してしまった。
明日は午後8時入浴を心がけてなるべく早く寝てしまおう。
現在(いま)を生きる
僕は元来、「気合い」とか「根性」みたいな精神論が嫌いだった。
こういった精神論が嫌いだったからどちらかというとボーっと生きてきた。
終始いつでも脱力した感じで日々を過ごしてきたと思う。
あまり「気合い入れてやるぞ!」とか「テンション上げていくぞ!」なんてことはしなかったように思う。
そもそも「気合い」とか「根性」なんてものは目に見えて触れられるようなものでもないので個人的には「それって気のせいなんじゃないかな?」くらいに思っていた。
でも、最近気づいたんだけど「気合い」とか「根性」とまでとはいかなくても、常に身体中に「気を張っている」人はいる。
この言い方もずいぶんとボヤっとした感じなんだけど、なんていうか身にまとう雰囲気のようなものが違う。
そういう種類の人は世の中に少なからず存在すると思う。
「気を張った生き方」とでもいうのだろうか。
そういった人たちはなんていうか一瞬一瞬に集中してるというか、「瞬間に集中している」というか「過去でも未来でもなく現在に意識を向けている」といった感じ。
意識を向けているポイントが今現在。この瞬間にフォーカスされている。これは今までの僕には欠けていた部分だと思う。
これまでの僕はどちらかというと、つい過ぎ去った過去の出来事を思い出してはそのことに対してくよくよしたり、まだ起こってもいない未来の不安を勝手に想像してオロオロしたりしていた。
なんとなくそういったことをボーっと考えていた。
例えば、
「ああ、なんであの時あんなことを言ってしまったんだろう」
「あの時もう少しあの人にやさしく接していれば今とは違う結果になっていたのかな?」
とか
「もし将来お金もなにも無くなって途方に暮れるようなことになったらどうしよう」
「老後のためにもっと蓄えを残しておいた方がいいのではないか?いまのままで幸せな老後を過ごすことができるのか?」
などなど。
これでは今を生きていない。
意識をフォーカスすべきなのは今この瞬間なのに、向けるべき意識が過去へ行ったり未来へ行ったりして散漫になってしまっている。
過去は過ぎ去ったこと。未来は起こってもいないこと。なのでその二つにエネルギーを割くことはそれほど重要ではないと思う。
過去でも未来でもない現在(いま)を生きるべきだ。
というわけで僕も現在(いま)を生きるために身体に気を張るというか気を巡らせて集中してみようと思う。
ボーっと脱力して生きることが悪いこととは言わないけど、たまには気を張った生き方というものをしてみてもいいんじゃないかな?
ためしに風呂上りに鏡の前に立つ。
背筋を伸ばして左右均等になるよう中心線を探してまっすぐに立ち、気を張っていると背筋も伸びて自然と腹筋もしまってシャキッとする。
抗がん剤の副作用の倦怠感からついついダルくて気が緩みがちだけど、こうするとなんだかシャキッとするような感じでなかなかいいと思う。
「病は気から」とも言うし、やってみて損はないかな。
でも45年もボーっと生きてきた僕にはこの行為が疲れる。
気を抜くとすぐにボーっとしてしまう、忘れてしまう。
これは訓練が必要だ。