44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

大腸癌と診断されて気づいた恐怖と孤独の源泉【がん闘病記57】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の8月下旬ごろに書いたメモをまとめています。

副作用のつらさがぶり返してきたかも

2016年8月。

4クール目の抗がん剤投薬後から8日経過

ここにきて倦怠感がまたつらくなってきた。

つらさ度的には6くらい。

つらさレベル6

前回の抗がん剤治療の時も休薬期間終盤になってつらさがぶり返してきた記憶がある。

口の中が気持ち悪い。

薬品が回ってる感じがする。

起きていてもつらいだけだからこんな時は早く寝てしまうに限る。

 

恐れのみなもとは多数派と少数派に分けられることにあった

4クール目の抗がん剤投薬後から9日経過

倦怠感のつらさは6くらい。

つらさレベル6

下痢が昨日に引き続き酷い。

食欲も無いし、口の中も気持ち悪い。

体調としてはあまりよくない。

 

恐怖と孤独の源泉。マイノリティとマジョリティ

僕は大腸癌と診断されてしばらくはかなり精神的に動揺したし、怖くてとても心細かった。

なぜそんな精神状態になったのか自分なりに考えてみたところ…

それは僕がこの世界のマイノリティ(少数派)に分類されたことを心のなかで拒絶し、その事実を受け入れがたかったせいなのだと思う。

「この世界のマイノリティ(少数派)に分類された」とはどういうことか?

説明すると…

グループ分けすることができる

この世界に存在している人たちは様々な方法で分類することができる。

たとえば単純に男性なのか女性なのか、若者か老人か、学生か社会人か、病人か健康か。

癌患者かそうでないか。

線を引いて分けることができる。

仮にこの世界の住人を「癌患者である」か「癌患者ではない」グループに分けたとする。

今現在生存している人類の中で「癌患者である」というグループに分類されることは明らかにマイノリティ(少数派)になる。

いくら日本人の死因の上位に食い込む病気である癌であっても、日本人の総人口に対しての割合を考えれば圧倒的に「癌患者である」人のほうが少ない。 

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たとえば、「虫歯になったから歯医者に行ってきた」なんて話はそこらじゅうで聞くことができるが、「癌になったから病院に行って手術してきた」ともなると頻度は虫歯にくらべてぐっと下がる。

僕は大腸癌だと診断されるまでは「癌患者ではない」という圧倒的マジョリティ(多数派)のグループのなかでボーっとノンビリ暮らしていたいたが、ある日を境に「癌患者である」という圧倒的マイノリティ(少数派)の中に突然放り込まれてしまった。

その大きなグループからはじき出され極めて小さなグループに入れられたことが耐えがたかった。

大きなグループからはじき出されるストレスとは

元来、人間は群れを成して生きる生物であり、大きな群れに属しているのと小さな群れに属しているのでは生存する確率がまったく違う。

人間の持つ本能としてなるべく大きな群れに属していたいということはあると思う。

「なるべくみんなと同じがいい、平均がいい」

「他人から嫌われてつまはじきにされないようにしよう」

「ひとりはさみしい」

こういった感情は一部の例外的な人を除けば誰しも持っている感情だと思う。

「癌患者である」というグループのなかのマイノリティとマジョリティ

そしてもっと恐ろしいことに僕が属している「癌患者である」というグループは生存確率が低い人間が大多数を占めている。

そのグループの中では「生存確率の低い者たち」がマジョリティ(多数派)であり、「そこから生還する者」は圧倒的マイノリティ(少数派)になるグループに分類される。

今後、医療技術の発展により癌と診断されても治療によって元気を取り戻す人も増えてくるかもしれないけど、現時点でまだまだ癌はむずかしい病気だというイメージは根強い。

圧倒的マイノリティ(少数派)に押し込まれ、そこでの生存確率は著しく低いという現実。

恐怖や孤独の源泉はここにある。

ここから死の匂いが湧き出してきている。

この源泉から湧き出る匂いから「自分にやがて訪れる最悪のシナリオ」という幻想を見せられ恐れおののき孤独に震える。

 

心配の前倒しをしている

しかし、最近僕はあることに気がついた。

たとえ僕がどのグループに分類されたとしても未来は不確定なものだ。

未来が不確定だということは100%確定している。

そして僕にとっての現実は今この瞬間にしかないということに。

不確定な未来は現時点では幻想に過ぎない。

そんなあるか無いか分からない幻想のために右往左往、きりきり舞いしても仕方がない。

ネガティブな未来を予想してその心配の前倒しをしてもしかたがない。

 

でもこうやって理性的に否定しようとしても、もしかしたら心の奥底ではその幻想を信じてしまっているのかもしれない。

心の表層の部分では否定して、深層の方ではその幻想を肯定する。

 

こうなると無理に否定してもわざとらしいだけかもしれない。

「もしかしたらこういうこともあるのかな~」くらいのスタンスで行けたらいいのかなとも思う。

でも、恐怖の源泉を探り当てたことには意味があると思う。

原因や理由が分からないことに対して人はもっとも混乱し恐れるのだから。

 

ひどくなる倦怠感

4クール目の抗がん剤投薬後から10日経過

下痢はおさまってきたけど倦怠感は酷くなってきた。

昼過ぎくらいまではそうでもなかったけど夜になると特に酷くなる。

つらさ度は7くらいあるかもしれない。

つらさレベル7

舌は痺れているけど口の中に薬品が回ってような感じではなくなった。

でも、つらいから早く横になって寝てしまおう。

さっさと寝るに限る。

 

砂糖(ブドウ糖)は癌細胞の栄養になるらしい

4クール目の抗がん剤投薬後から11日経過

倦怠感は昨日ほどでもなく、つらいときで6くらいかな。

つらさレベル6

下痢もおさまったみたいだ。

しかし、指先のひび割れ、舌の痺れは相変わらずある。

酒もタバコもやめたけど…

最近読んでる癌関連の本に書いてあったことで砂糖(ブドウ糖)は癌細胞の栄養になるということが書いてあったので、そのことを読んでからなるべく甘いものは取らないようにしている。

昨日くらいからコーラなどの甘い炭酸飲料は飲まないようにしている。

糖分は果物からとる方がいいと本には書いてあった。

抗がん剤治療を受ける前の僕は酒もタバコもやっていたし、チョコレートなどの甘いお菓子も好きでよく食べていた。

特にお酒はアルコール度数の高いウイスキーやジンを好んで飲んでいたし、そんなお酒を飲みながらタバコを吸うのが大好きだった。

よくやっていたのは小さなショットグラスに注がれたウイスキーをストレートで飲んでからチェイサーで水をひとくち。その余韻が残っているうちにタバコを吸う。といった飲み方が好きだった。

でも大腸癌と診断されたことをきっかけに酒とタバコはすっぱりとやめた。

酒とタバコが諸悪の根源だと決めつけるわけではないけれど、自分の身体に悪影響を及ぼすかもしれない可能性があるものは少しでも排除したかったというのが主な理由。

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飲みたい気持ち、吸いたい気持ちはあったけど自分の命とそれらを天秤にかければおのずと答えはでる。

酒とタバコはやめたけど、勉強不足で癌細胞の主な栄養源がブドウ糖だということは知らなかったのでお菓子などはそれほど意識してやめようなんて思ってはいなかった。

しかし、改めて考えてみると抗がん剤の副作用の影響で舌の感覚がおかしくなっているからこれまで好んで食べていたお菓子はあまりおいしいと感じなくなった。

それならば別に無理に砂糖が入った食品を摂らなくてもいいかなって思う。

甘いものが欲しいと思ったときはなるべく果物を食べるようにしよう。

不思議と果物はおいしいと感じることができるので、果物を食べる量は抗がん剤治療の前と後では段違いに増えた。

最近主に食べているのはスイカとグレープフルーツ。

以前はグレープフルーツなんてあんなすっぱいもの嫌いだったに不思議と今はおいしいと感じている。

もしかしたら結局のところは身体が自分自身にとって最良のものを欲しがっているのかもしれない。

明日から5クール目の抗がん剤治療

明日から5クール目の抗がん剤治療が始まる。

これを乗り越えれば大きな節目である「中間地点」までのこり1回になる。

今はまだ12回の予定のうち4回が終わっただけなので残り8回残っているけど、半分を過ぎれば残っている回数の方が徐々に少なくなってくる。

積みあがってくる副作用のつらさがこの先どうなるか分からないけどやれるところまではやってみようと思う。