6クール目の抗がん剤治療の休薬期間14日以上経過。慣れというものはおそろしい【がん闘病記74】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の10月上旬ごろに書いたメモをまとめています。
6クール目の抗がん剤投薬後から14日経過
2016年10月。
前回(6クール目)の抗がん剤投薬後から今日でまるっと2週間経ったことになる。
いつもワンクールの期間は投薬3日、休薬期間11日でワンセットなのでこんなに長いのは初めての経験だ。
体調の方はどうかというと、ほんのちょっとづつ楽になってきてはいるものの抗がん剤の副作用がすべて抜け切るということは無い。
食欲も徐々にではあるが戻ってきている気がする。
下痢もおさまってきて今のところ便秘の症状も出ていない。
指先のひび割れ、爪の周囲のさかむけも治まってはきているが左手中指は症状が酷くてなかなか治らない。
足のかかとあたりもひび割れて痛かったが今では治ったみたいだ。
あと4日で次の抗がん剤治療が始まるけど、それまで少しでも元気になってないと後半戦が持たないだろう。
少しでも元気になるように祈ろう。
ちょっとづつ少しづつ復調している
6クール目の抗がん剤投薬後から15日経過
ほんのちょっとづつ、きわめてちょっとづつだけど抗がん剤の副作用がおさまっていってる気がする。
食欲も少し出てきたし、舌の感覚もしびれが軽減されて味覚を感じる機能が戻ってきている気がする。
味噌汁の味が分かる
今日は体調も良さそうなので久しぶりに吉野家で昼ごはんに牛丼と味噌汁を食べたけど以前とは、抗がん剤の副作用がキツかったときとは味の感じ方が違うことに気が付く。
まず、味噌汁の味だけど前回食べた時は舌が痺れた状態だったのであまり味は感じられず、お湯を飲んでいるみたいだった。
でも今回は味噌の風味というか、ちゃんと味噌汁としての味を感じることができた。
牛丼も前回に比べておいしくいただくことができたと思う。
僕は牛丼を食べるときにお店に置いてある紅ショウガを山ほど入れて食べる。
牛丼を食べに行ってるんじゃなくて紅ショウガを食べに行ってると言っていいほどたくさん入れて食べる。
だから抗がん剤の副作用である程度舌が痺れていても紅ショウガの味は舌が感じやすいのか味を感じることができる。
人が見ると「え?そんなに入れるの?」と、ちょっと引かれるくらい入れるので、最近は人目を気にして少量ずつ入れては食べ入れては食べを繰り返している。
なんというかあの強烈な刺激が癖になってしまっているようだ。
なんでもやりすぎは良くないと分かっているけどついついやってしまう。
恐れが薄まると横着な怠け者にもどる
6クール目の抗がん剤投薬後から16日経過
体調としてはゆっくりと回復してきてはいるが抗がん剤の副作用はまだ抜けない。
しかし、あと2日もすればまた次の7クール目の抗がん剤治療が始まる。
あーいやだ、また地獄の3か月が始まってしまう。
慣れというものは恐ろしい
しかし人間の「慣れ」というものは恐ろしいというか厚かましいというか。
癌を告知されたばかりの時は自分の命が終わってしまうことばかり考えていて、その恐怖におびえていたばかりの毎日だった。
だけど、数か月も経つとその状況にもだんだん慣れてくる。
癌が身体中に拡がって命を落とすことよりも抗がん剤治療の副作用の苦しさの方が疎ましく思えてくるから厚かましいというか図々しいというか。
最初の1ヵ月。ステージ4の大腸癌だと告知されての1ヵ月くらいの間は
「ああ、怖い…僕はもうだめかもしれない…抗がん剤治療がどんなにつらくても自分の命が無くなるよりかはいい、なんとしても耐えよう」
なんてことを思っていたのだけれど、ステージ4告知から2か月くらい経つと…
「癌の恐怖は前ほどではないけど、もしかしたら癌は僕の命を持っていくかも…あーでも抗がん剤治療つらい、もう辞めたいキツい」
って思うようになって、ステージ4の告知から3か月後くらいは…
「あれ?もしかして癌は抑制できるんじゃないかな?それならもうとにかく抗がん剤治療辞めたいつらいダルいー」
と心境に変化が見えてきた。
癌が僕の命を奪う可能性。その恐怖が薄れてくるとまた癌と診断される以前の、普段通りの横着な怠け者になってきているようだ。
心からの恐怖に焼かれているときは常に真摯でまじめな心持ちで居れたような気がするが、その気持ちも時間の経過と共に恐怖が僕から遠ざかり薄れていくことに比例してしぼんでしまったようだ。
これは油断だ。
癌はこんな油断を見逃さない。
癌はおそらく僕にとって最強の教師であり、人生を変える強力なツールだ。
こんな僕の横着な姿勢を、気のゆるみを見逃すはずがない。
油断してるととんでもないことになる。
これまでの人生の中で油断してはひどい目にあったりすることは今まで何度も経験してきた。
経験からはいい加減学ばなくてはならない。
気を引き締めなくては。