44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

タカおじさんのお見舞いと焼き芋へのあくなき探求心【がん闘病記103】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の12月初旬に書いたメモをまとめています。

タカおじさんがさみしがっているらしい

2016年12月。

10クール目の抗がん剤投薬から11日経過

今日も夕方から先日緊急入院して癌が発覚した叔父、「タカおじさん」の見舞いに母と二人で行く。

本来なら今日は行く予定ではなかったが、午後になにやらタカおじさんの入院先の病院から電話があって

「姉が来ないけど…、どうしたんだろう?」

って言って心配していますよ~と、看護師さんから連絡があったのでしょうがないので行ってきた。

おそらく病気になって心細いのだろう。

その心細さは死を目前に見据えた者の特有のものだろう、僕にもよく分かる。

よく分かるけどちょっと甘えんぼさんが過ぎやしないかと。たかが1日顔見せないくらいで騒ぐほどのことでもないだろうに…と思わないことも無い。

しかしまあ、タカおじさんは奥さんもおらず他に身寄りが無いので仕方ない。

病室に入るとタカおじさんの容体は昨日に比べたら少しだけ落ち着いてるようで、しっかりとした印象を受けたが弱っていることに変わりはない。

話をしようとするけど喉がゴロゴロ鳴っていて、痰がたまってて話しにくそうだ。

そんななか看護師さんが機械で痰を吸引しに来てくれた。

最初喉から管を入れて取ろうとしていたが喉からではうまく取れないらしく、鼻から管を入れて吸い出していたけどそれでもつらそうだった。

僕は見ていられなくなって離れたところで音だけ聞いていた。

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タカおじさんの姿は恐ろしくてたまらない

今のタカおじさんはまさしく癌患者の終末期と言っていいだろう。

終末期と言ってもこれまで長いあいだ闘病生活を送ってきたわけではなく、ただどうしようもなくなるまで病院にも行かずに放置していただけなのだけど。

そんな癌患者の終末期を見るのは僕にとっては恐ろしくてたまらない。

どうしても同じ癌患者の自分と重なってしまう。

自分も将来こうなってしまうのではないか?と考えてしまう。

とはいえ冷静に考えてみると、僕とタカおじさんの癌は別物で全く関係はない。

ただ単に「癌」という大きなカテゴリーの中で一緒くたに考えてしまっているだけで、データを詳しく比較してみたわけではないけれど、医学的に見れば癌の種類や特徴までなに一つとっても違うと思う。

だから僕が同じようになるなんて考える必要はないし、考えたところでなんの得にもならない。

でもタカおじさんの見舞いから帰るときの帰路はどうしようもなく気分が落ち込んでしまう。

別れ際、タカおじさんが弱弱しい声で「(闘病生活を)がんばる……」と言っていたが、そんな一言にも腹が立ってしまう。

どうせ頑張るならもう少し早めにがんばっとけよ!そんな姿見せるために大事な自分の命を使うんじゃないよ!

そんな言葉が喉の奥まで出かかった。

言ってもしょうがないし、弱っている患者に鞭打つようなことは言うまいとその言葉を飲み込んで病室をあとにした。

 

自分が癌患者であることをあらためて思い知らされる

10クール目の抗がん剤投薬から12日経過

癌患者の終末期にいるタカおじさんを見て僕は恐怖と戦慄を覚える。

僕自身、癌の告知を受けてからかれこれ半年近くなり、時間の経過とともに精神的にもかなり落ち着いてきたところだった。

がん進行度ステージ4の告知を受けた当初は「自分はもう長くないんだろうな…」と思っていたから激しく動揺し落ち込んだりもしたが、月日が経つにつれ病院で受ける血液検査の結果も悪くなく、医師からもそんなに緊迫した態度も感じられないので最近はどちらかというとのんきに過ごしていた。

油断していた。

僕も癌患者だった。

タカおじさんのことは最近油断していた僕を律するのに十分な出来事だった。

 

人間油断して気が緩むと自己を律する枷(かせ)が緩んでくる。

そうなってくるとわがままで傲慢になりがちだ。

ちょっとのことでイライラしたり怒ったりもする。

一体何をイライラすることがあるのか怒る必要があるのか、そんなものどこにもないんだけどわがままで身勝手な僕はそうしてしまう。

こういうのっていいリトマス試験紙みたいなものだと思う。

イライラしだしたら「あ、わがままで身勝手な自分が出てきているな」思えばいい。

無理にそれを抑えようとは思わないけど、客観的には判断できるんじゃないかと思う。

 

焼き芋へのあくなき探求心

10クール目の抗がん剤投薬から13日経過

体調としては昨日は少し下痢っぽかったが今日は大丈夫みたいだ。

最近焼き芋の技術がかなり上がってきた。

焼き芋で使う木炭も以前ホームセンターで9㎏入りを買ってきたが、それも2箱目に突入したから回数もかなりこなしてきている。

そんななか芋の品種によって焼き芋に向き不向きがあることも分かった。

ネットで調べたところ焼き芋に向いてる品種は安納芋、紅はるか、シルクスイートなどがあるそうだ。

近所のスーパーマーケットで手に入った品種で安納芋、シルクスイート、あと鳴門金時という品種も試してみた。

結果としては安納芋とシルクスイートは甘くネットリとした食感でとてもおいしかったが鳴門金時はネットリとしたところは外側だけで中心部はホクホクというかパサパサした感じであまりおいしくなかった。

僕が目指している食感はネットリと柔らかい食感でホクホクとしたのはあまり好きではない。

今のところ安納芋とシルクスイートは及第点だが今まで食べた焼き芋で一番おいしかったのは近所の八百屋さんで売っている焼き芋で大分産のサツマイモを使ったものが一番おいしかった。

その焼き芋を超えるべく日々、いろんな品種の芋を試して焼いている。

焼き方もなるべく低温で長時間かけて焼くために、最初に温度が上がり過ぎないようにあらかじめ水に浸しておいた炭を少しだけ加えたりといろいろ工夫している。

焼き芋にハマる理由

そもそもなぜこんなに焼き芋にハマっているかというと、抗がん剤の副作用で痺れた舌でも焼き芋はおいしいと感じるからだ。

抗がん剤の影響で加工された食品はあまりおいしいと思わないのでおいしいと思えるものは僕にとって貴重だ。

抗がん剤治療中でもやっぱりおいしいと思うものが食べたい。

さらに冬のこの寒い時期はやはり暖かいものが食べたくなる。

どうやら夏はスイカばっかりだったが、冬は焼き芋ばっかりの食生活になりそうだ。

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