44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

大腸がん手術直後の感想。僕の「生涯痛さランキング」堂々の第一位

大腸がん手術直後の感想。僕の「生涯痛さランキング」堂々の第一位に

この記事ではヨシノ(id:yo_kmr)が2016年の6月初旬ごろに書いたメモをまとめています。大腸がんの手術は無事成功しましたが、手術直後の痛みは壮絶なものでした。今回は手術直後の様子を書いています。

大腸がんの手術は成功したみたい

2016年6月。

手術が終わって2日が経過した今、病室のベッドの上でIpadのメモ機能を使ってこの文章を書いている。

とりあえず僕は生きてこの文章を書いているので、手術は成功したと言えるだろう。

しかし手術後のキツさといったらハンパなかった。

正直舐めてた。

もう、ベロンベロンに舐めきっていた。

というわけで時間は手術後までさかのぼる

大腸がん手術直後のこと

手術前に麻酔で意識を失ったあと、どれくらい時間が経ったのだろうか?

朦朧とした中で目を覚ます。まわりは看護師さんたちがバタバタとせわしなく動いていて独特の緊迫感があり、なんだか騒がしい。

メガネをかけていなかったのでぼんやりとしかわからなかったが、一番最初に目に入ったは母の顔。

心配そうに笑う母さんの顔だった。次に執刀してくださった担当医のウエノ先生が手術着そのままでマスク越しに僕に向かって何か言ってるような気がした。 

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たぶん、手術が上手くいったとかそんな内容だったと思うが、手術後で看護師さんたちが周りでバタバタと忙しそうに動き回って騒がしかったのと、意識もあまりしっかりしていなかったせいもあってよく覚えてない。

それ以前に麻酔の影響か、手術のせいかどうかわからないけど、受け答えしようにも声が出ない。

それでとにかくダルい、身体が重い、身体を動かそうなんて露ほども思わないくらいだ。

麻酔のせいなのか意識もなんだかボンヤリしているうえ、車酔いで吐く二段階前のような気持ち悪さが痛みと混ざりあいつつやってくる。

全然楽しい気分になれない。

そして何より痛い。

痛い。

痛ーーーーーーーーーーい!

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何だこれ?まだ麻酔がちょっとは効いてんじゃないの?

痛い、痛すぎる!!!

頼むからもう一回気絶させてくれ、耐えられない。

大腸がん手術後の痛さは「 生涯痛さランキング」初登場第一位の痛さ

人生で味わった痛さで「痛さランキング堂々1位」の痛さだわ、これ。

今まで2位だった

『足を骨折した際にヒザの骨を固定していたボルトを骨がつながった後で局所麻酔で取ってるときボルトのネジ部分が骨の中で回るのが分かった時の痛み』

を3位に追いやり、1位だった

『2回目の左目の網膜はく離の手術のとき局所麻酔で意識がある状態で手術をし、眼底にカミナリのようなレーザーをバチンバチンと当てられたときの痛み』

を悠々と追い越して第1位に輝く痛さだわこれは。

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よくよく考えれば当然ともいえる。

なにせ腹掻っ捌いてから大腸を20センチほどぶった切って取り出し、切ったところをまたくっつけているのだから。

それに伴って熱も出てるみたいだが、それを気にする余裕などこのときはなかった。

脂汗と苦痛に歪む僕の顔を見て察してくれたのか、体温と血圧を測りに来てくれた看護師さんが

「痛み止めしますか?」と言ってくれた。

是非も無し、と声にならない声で「お願いします」と口を動かしながらうなづいた。

痛さに耐えながらじりじりと時間が過ぎるのを待つ

痛み止めの薬らしきものが点滴薬の隣にぶら下げられる。

詳しくはわからないが痛み止めの処置をしてくれているのだろう。

しばらくすると痛み止めのお陰か幾分か痛みが楽になってきてうつらうつらし始め、眠ることができる。

で、また目を覚ますのだが自分の感覚では2時間くらい眠ったつもりだったが、付き添ってくれてる母に聞くと眠っていたのは15分くらいだという。

たったの15分…

あー、まる2日間くらい眠りっぱなしでいられないものかと切望する。

時間が経つのが遅すぎる、ここは。

とりあえず、母さんにはこれ以上ここに居ても特に何もすることがないので「もう帰っていいよ」と、家に帰ってもらうことにした。

重篤患者が集まる場所・HCUハイケアユニット

僕が今いる場所は重症病室とかHCUハイケアユニットとか言われるところだ。

ここはICU(集中治療室)と一般病棟との中間に位置するところで比較的症状の重い患者や手術直後の患者にすぐ対応できるようにナースステーションのすぐ隣の一室にそういった患者が数人集められている。

意識がしっかりしていないからぼんやりとでしか分からないけど、見た感じ6人分くらいのベッドと側には医療ドラマなんかでよく見る心拍の波がピコんピコんするたぐいの機械がたくさん据えられている。

その装置というか機械もひとつひとつが大きくて複雑そうな動きをしている。

よっぽど重要な装置なんだろうな、ということは見た目からも容易に判断できる。

もちろん僕のそばにもそれらの装置が据えられていて、ピコんピコんと心拍の波を告げていた。

重症者ばっかりなので「ううぅ…」という呻き声や頻繁に鳴るナースコールや看護師さんを呼ぶ声で眠っていてもすぐ目が覚めてしまう。

浅く短い眠りと重く鈍い覚醒を繰り返しながら、ただただじりじりと時間が過ぎるのを待つ。 

時計の秒針の動きも心なしか重いように感じるのは気のせいなんだろうけど。

翌朝になれば少しでもよくなっているかもしれない、そんな希望を抱きつつなんとか眠りにつこうと目を閉じる。

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手術が成功して、生きてまたこの世界に帰ってこれてよかった

とりあえずは手術が成功したみたいでよかった。

たまに麻酔なんかの事故でずっと目を覚まさない人とかもいるなんて聞いてたから、もし眠りっぱなしになったらどうしようと、少し怖かった。

生きてこの世界に戻ってこれてよかった。

でも今は眠りたい。

ただただ静かに眠っていたい。

目を閉じてしばらく、眠れずに時計を見る。

また目を閉じてしばらくして眠れずに時計を見る。

時計の針がなかなか進んでいなくていやになる。

ちびちびと動く秒針が実にじれったい手術後のハイケアユニットだった。