おにぎりが食べたくて泣く【がん闘病記89】
この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2016年の10月下旬ごろに書いたメモをまとめています。
- 8クール目の抗がん剤投薬後の翌日
- 45歳のおっさんがおにぎりが食べたくて泣く
- 副作用でつらいが外を歩くと気持ちがいい
- かけそば一杯もたべられない
- ネガティブなことは考えないように努めるが考えてしまう
- 考えずにはいられない「余計なこと」
8クール目の抗がん剤投薬後の翌日
2016年10月。
抗がん剤治療も8回目ともなるとなかなかにつらいものがある。
身体の中に細胞毒のダメージが蓄積していくようだ。
これまで抗がん剤治療を受けてみて感じたことは副作用にも波があるということと、この副作用は2~3週間では抜けきらないということ。
抗がん剤の副作用でつらさのピークとして現れる症状はいまのところでは…
- 倦怠感が酷い。
- 指先が痺れて冷たいものが持てなくなる。
- 舌が痺れて味覚が分からなくなる。
- 喉が痺れて水を飲むのもつらく感じる。
- 嗅覚が敏感になるのか、いつも嫌なにおいがまとわりついているような感覚になる。
- 吐き気が酷くなる。
- 下痢、もしくは便秘をしてそれに伴う倦怠感にも苦しめられる。
いまのところ思いつくのはこんな感じだ。
45歳のおっさんがおにぎりが食べたくて泣く
今現在、僕の舌は最高に痺れている。
味覚に加え嗅覚もマヒしているようだ。
何を食べてもおいしくないし飲み込むことさえつらくなっている。
そんな時ふと思い出したのが小学生の運動会の時にお弁当で食べた「母さんが握ってくれたおにぎり」だ。
炊き立てのご飯を俵型にむすんで味付け海苔を巻く。
その味付け海苔が昼頃には重箱の中で湿気で蒸されてしっとりおにぎりに張り付いている。
海苔の風味がしっかりと塩味のおにぎりにしみついて、これが何とも言えないくらいおいしかったような気がする。
「思い出補正」というものもちょっとはあるのかもしれないけど。
でも、今の僕はおにぎりなんてとても無理だ。
子供の頃みたいにモリモリとおにぎりが食べたい、というより食べられる日が再び来るのだろうか。
あのおにぎりにかぶりついた瞬間の海苔の風味とお米のおいしさをまた味わいたい。
ほんのちょっとの懐かしさのようなものがやけに遠くに見えて少しだけ泣けてきた。
45歳のおっさんがおにぎりが食べたくて泣く。
字面だけ見るとかなり滑稽だ。
副作用でつらいが外を歩くと気持ちがいい
8クール目の抗がん剤投薬後から2日経過
やっぱり身体がキツくて昼まで寝ていた。
午後から起きれるようになったので近くの自然公園までウォーキングにいく。
やはり外を歩くのは気持ちがいい。
副作用としては倦怠感のつらさが8くらい。
手足の痺れがあり、舌も痺れて味覚はよく分からない。
指先のひび割れは多少あり。
微妙にお腹が痛いような気もする。
吐き気などはあまりなく、便秘や下痢にも今のところなっていない。
かけそば一杯もたべられない
8クール目の抗がん剤投薬後から3日経過
抗がん剤治療から3日たってもつらさはあまり変わらず、午前10時くらいまでは寝ていた。
下痢と便秘にはなっていないからそれに伴う倦怠感がないのが少しだけ幸いしてる。
でも舌は痺れて食欲は無いし、手先と足先も痺れている気がする。
夕食に用意したかけそば一杯が食べきれない。
これが結構つらい。
食べることが苦しい。
食べられない。
ネガティブなことは考えないように努めるが考えてしまう
8クール目の抗がん剤投薬後から4日経過
抗がん剤投薬後から4日経つというのにまだまだ体調的にはキツい。
倦怠感は7くらいで昨日の夜、少し下痢の兆候があったが今は落ち着いている。
今の一番の問題は舌が全開に痺れていて何を食べてもおいしく感じないということ。
果物は少しだけマシでその甘みを感じることが出来るが、それも水分が多い果物に限った話でバナナなんかはモソモソとしていてあまりおいしくない。
考えずにはいられない「余計なこと」
ところで癌患者っていうのは余計なことをいろいろと考えてしまうんじゃないだろうか。
僕もそうだがやはりその余計なことっていうのは不安からくることが多い。
「この先自分はどうなるんだろうか?」
「癌がどんどん進行していったらどうなるんだろうか?」
「苦しんだろうか?」
「痛いんだろうか?」
自分の中で勝手にまだ起きてもいないネガティブな要素を考え出し,そのことばかりに考えがフォーカスしてしまう。
比較的楽観的な性格をしていると自分でも思っている僕でも不安からネガティブなことを考えたりすることはよくある。
その一つの原因として抗がん剤治療があげられるのではと思う。
抗がん剤治療を受けていると身体的にとてもつらい状況になる。
酷い倦怠感や下痢、便秘、吐き気、発疹などの皮膚障害や食欲不振などなど。
これが回を増すごとに酷くなっていく。
そのつらさがつい自分の中にある癌が引き起こしてくるものだと勘違いしてしまうんだと思う。
抗がん剤治療を重ねるうち、どんどん元気がなくなっていく自分。
まるで80過ぎのおじいちゃんのように細かく震えながらヨタヨタと歩く自分を見て、症状が悪化しているような気になってくる。
でもこれはあくまでも抗がん剤による副作用で癌自体が引き起こしているものではない。(様々な症例があるから一概には言えないのかもしれないけれど)
肉体的に元気がなくなる、これにつられて精神的にも元気がなくなってしまう。
考えてもしょうがないことだしネガティブにとらわれ過ぎるのも免疫作用の面であまり得策とは言えないと思う。
「考えるな」と言われて考えないようにしようと思うのは難しいのかもしれないけれど、できるだけ気がまぎれることをしてやり過ごしていこうと思う。