44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

四国一周旅行最終日。栗林公園へ行ってからうどん屋さんをはしごする【がん闘病記129】

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2017年の5月下旬に書いたメモをまとめています。

香川県高松市の栗林公園へ

2017年5月。

四国一周旅行6日目。

今日は早朝6時前から起きて香川県の栗林公園(りつりんこうえん)を目指すことにする。

ネットで調べたところこの時期は早朝5時から開園しているらしく、早く行っても問題なさそうだ。

徳島市内の泊まってたホテルから車で1時間ちょいで香川県高松市にある栗林公園に到着する。

www.my-kagawa.jp

どうでもいいことだが、どうしても栗林公園をリツリンコウエンと読めないのは僕だけじゃないはずだ。

日本有数の庭園ということで、なかなかどうして風情があり美しい。

f:id:yo_kmr:20190312235107j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235120j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235132j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235144j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235158j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235213j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235223j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235237j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235248j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235258j:plain

f:id:yo_kmr:20190312235307j:plain

自然の美しさもあるが、人の手が加えられてこその美しさというのは確かに存在する。

園内には所どころ池があり立派な鯉が泳いでいる。

そして園内の敷地は結構広く、歩いて全部を見て回るにはちょっと苦労する。

これはお年寄りとか身体が不自由なひとにはちょっつらいかもしれない。

小型人力車サービスとかセグウェイサービスのようなものがあると便利だと思う。

時間的にはまだ朝方だけど今日は暑くて、歩いていると汗ばんでくる。

そんななか、古い大きな松の木の陰に入る。

何百年も前から同じようにここにある影。

昔の人も同様にこの松の下で涼んだのだろうか。

そう思うと影ひとつにも感慨深くなる。

ひとしきり園内を堪能したあと、8時40分ごろに栗林公園を出る。

周辺のお土産屋さんや園内の渡し船の営業は午前9時からみたいでまだ開店準備の真っ最中だった。

ちょっと残念だ。

うどんを食べなくて何のためにうどん県に来たのか 。坂出 山下うどんへ

そして「うどん県」香川に来たからにはうどんを食べなくては!と思い、ネットでいろいろ調べて人気店っぽい「山下うどん」に行くことにした。

f:id:yo_kmr:20190312235333j:plain

山下うどんは分かりづらい場所にあり、昭和初期に建てられたような古い建物だ。

僕が到着したときは朝9時になるかならないかの時間なのに駐車場にはすでにたくさんの車が入っている。

他県ナンバーが多いことから観光客に人気のお店なのだろう。

さっそく店内へ…と入ったはいいが、注文のしかたというかシステムが全く分からない。

料金は前払いなのか後払いなのかすら分からない。

入り口付近で何やらうどんをまとめるような作業しているおばさんに聞いてみると、うどんを茹でている窯の近くにいる別のおばさんにうどんの種類を注文して食後に会計するようだ。

この後も他の店でうどんを食べようと思うので、とりあえず僕はうどん(小)を頼むことに。

横を見るといろんな天ぷらが並べて置かれてるのだけれど、それはどういうシステムかとおばさんに尋ねると、食後の会計の時に自己申告で告げるそうだ。

え?自己申告?そんなシステムある?インチキする人とかいないのかな?と少しいぶかりながらもゲソ天をひとつ取って席に着く。

期待を込めて食べてみるけど正直な感想として味としてはチェーン展開してる丸亀製麺で食べるのと大差ない。

ハッキリと味の違いを実感できるほどの差を感じることはできなかった。

うーん、そんなに有り難がるものでもないのかも。

正直、香川のうどんに対してハードルが上がりすぎていた。

うどん県で有名店なのだからきっとおいしいはずだ!と。

讃岐うどんの本場、香川の有名店でうどんを食べれば飛び上がるくらい、目ん玉飛び出るほどうまいと思い込んでいた。

一杯何百円かのうどんに何を期待していたんだ僕は。

(※ここで山下うどんさんの名誉のために付け加えておくが、僕はグルメではないのでそんなに味覚に敏感ではないということも考慮して欲しい)

山内うどんで出会った老夫婦の食べっぷりにおったまげる

次に山内うどんに来た。

f:id:yo_kmr:20190312235411j:plain

ここも結構わかりにくい場所にあり、田園風景広がる田舎道をわきにそれた場所にあった。

ここの注文システムはどちらかと言うと分かりやすい。

最初にうどんを注文し、てんぷらが並んだレーンを通り過ぎて最終的にレジ前に行くことになる。

このシステムは丸亀製麺で慣れている、というか元祖はこちらの方かもしれないが。

時間的にはまだ午前11時くらいなのに店内はすでに混んでいる。

やっぱりここも人気店らしい。

僕はうどん(一玉)コロッケ、イカ天を取って会計を済ませ、空いてる席を見つけ座る。

僕がうどんを食べ始めてからほどなくして、年齢は70歳以上はあるであろう老夫婦がうどんをもって僕の隣に座った。

相席になった老夫婦のうどんを見て驚く。

明らかに大盛りだ。

その大盛りうどんを食べているおじいさんに話を聞いてみると、おばあさんの方はうどん二玉、おじいさんはうどん三玉の大盛りうどんだそうだ。

「すごい!高校生の柔道部員みたいな食べっぷりですね!」

と、僕が言うと、

「いやあ、おいしいからこれくらいは食べるんよ」

と、ちょっと照れくさそうにしておじいさんははにかんだ。

聞くと、おじいさんたちは車で20分位の場所に住んでいるらしいのだが、ここのうどんが好きでたまに食べに来るそうだ。

そして肝心のうどんの味の感想だが、やっぱりチェーン展開してる丸亀製麺と大差ない。(※念のため付け加えておくが僕は味覚にはあまり自信がない)

てんぷらなどと合わせて460円だったから安いのは安いと思う。

上げ過ぎたハードルに足を取られ、ちょっとだけ期待外れだったうどんの後味を残しつつ、しまなみ海道に入るために愛媛県を目指す。

しまなみ海道を抜けて広島から帰路につく

今回の旅は山口県から最初にフェリーで愛媛県の松山市に入り、そのあと海岸線を南下して高知、徳島と回ったのちに北上して香川県に入った。

そしてまた香川から愛媛に入れば四国をほぼぐるっと一周したことになる。

おおまかでいいのだ。

途中、ちょっと迷ったりはしたものの、午後3時ごろにしまなみ海道に入る。

瀬戸内に点在する島々を橋でつないでいるのだが、やっぱり瀬戸内の景色はいい。

海のブルーと点在する小島に生えてる木々のグリーン、それにアクセントをつける白い砂浜のライン。

実に美しい。

午後4時しまなみ海道の途中の瀬戸田パーキングで少し休憩。

f:id:yo_kmr:20190312235527j:plain

これから自宅を目指していくのだが、グーグルマップによると約200キロあると言う。

日付が変わる前に家に帰れるだろうか。

しまなみ海道を抜け、広島の尾道に着く。

さよなら四国。十分に堪能させていただきました。

四国での総移動距離は約1,400キロメートル位だった。

 

現時点でグーグルマップでは自宅までの所要時間は3時間ちょいで夜8時くらいには着く計算だが、現実にはおそらくは深夜までかかると思われる。

途中休憩を挟みながら夜の10時ごろには自宅へ無事到着した。

無事に帰れて何よりだ。

今回の旅の総括

今回、未踏の地である四国を縦断したのだが、印象深かったのはところどころで見かけるお遍路さん、四万十川の美しさ。

讃岐うどんのハードル上げ過ぎてのがっかりさが際立っていた。

おおむね予定通り、希望通りの旅だった。

やはり旅行中は適度な緊張感があり、見るものも新鮮で自分ががん患者であることを忘れることができた。

がんのことを完全に頭の中から消し去ることはできないけれど、それでも一日のうちがんのことを考える時間は確実に減っていたと思う。

少しだけ心配していた体調面も抗がん剤治療終了から5ヵ月が経過しているので、副作用の影響も出ずに何も問題なく過ごすことができた。

そして自宅に帰って思うのだけど、旅をしているときも自宅にいるときも同じように朝が来て日が暮れ、夜になり一日が終わる。

旅の途中では見るもの触れるものすべてが新鮮で特別な時間を過ごしているように思うが、日々の日常で過ごしている時間も同様に特別なのだと思う。

四万十川に反射してキラキラして見えた太陽の光も徳島の眉山のふもとで見た月の光も見る場所は違えど同じように今も僕にその姿を見せてくれている。

 

今も旅の途中。

人生という名の旅の途中なのだから。

どうかこの旅ができるだけ長く続きますように。