44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

抗がん剤の影響で絶不調のなか歳を越し、アバスチンについて勉強する

抗がん剤の影響で絶不調のなか歳を越し、アバスチンについて勉強する

この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2018年の12月下旬に書いたメモをまとめています。抗がん剤の副作用で苦しみながらも2019年の元旦を迎えられました。そして今やっている抗がん剤治療のアバスチンという薬について調べています。

2018年も残すところ3日だが抗がん剤の副作用で寝たきり

アバスチン抗がん剤投薬終了の翌日

2018年12月29日。2018年も残すところ今日を含めてあと3日。 

今日は抗がん剤の副作用がつらくて一日中寝たきりだった。しかし寝てばかりいることもつらいものがある。今僕は実家で母と二人で暮らしているが、年の瀬だというのに家のことが何も手伝えないので母に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

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抗がん剤の副作用で絶不調だがなんとか2018年の大晦日まできた

アバスチン抗がん剤の副作用で絶不調だが、なんとか2019年まで生き延びられそうだ。

年の瀬だというのに家のことを何も手伝えないことが情けなく、母に申し訳なく思う。母も腰と膝が悪く、今では杖なしではまともに歩けない状態なので大掃除なんてできない。日がな一日寝てばっかりの自分が情けなく、テレビなどで紹介されるにぎやかな年の瀬の景色とあいまってやけに惨めに感じてしまう。

でもあきらめないでいこう。最後までみっともなく足掻いていこう。

未来の元気になった自分のイメージを忘れずに持ち続けていこうと思う。

来年も元気いっぱいで生きるぞ。

2019年元旦。新年泣き笑い

2019年元旦。

アバスチン抗がん剤投薬後から4日経過

抗がん剤の副作用で絶不調だが、なんとか新しい年を迎えることができた。

午前10時ごろ、のそのそと起きあがってすでに起きていた母に新年のあいさつをする。

おたがいに「あけましておめでとうございます」と、ありきたりな新年のあいさつをしながら母はなぜだか涙ぐんでいた。

「なんで泣いてるのよ(笑」

と、たずねると。

「あんたがあんまりつらそうだから(笑」

と、母は泣いているのをごまかすように半分笑いながら答えていた。

母にはただただ心配のかけどおしで申し訳なく思う。

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さみしい新年会

そして今日は元旦なので夜には弟一家が新年のあいさつに来てくれた。

我が家では新年に親戚皆であつまって自宅で夕食を食べるということが習わしになっている。

母と弟一家みんながごちそうを食べている中、僕は抗がん剤の副作用での下痢を警戒して、おでんの大根をひとつだけ食べる。ちょっと体調が回復してきたといって、ここで調子に乗って普通に食べてまた下痢になったら元も子もない。せっかくのお正月にごちそうが食べられない寂しさもあるが、これは自分で選択したこと。

「苦しみをなるべく回避するための最善な選択なんだ」

と、自分に言い聞かせおでんの大根をみんなと一緒にゆっくりと食べて過ごした。

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新年の集まりも年々さみしくなっている

先ほども述べたが、我が家では毎年元旦には新年のあいさつがてら親戚みんなが集まってみんなで夕食を食べるという習わしがあった。

大広間にテーブルをいくつもくっつけて、みんなでワイワイと楽しくご飯を食べるというもの。

毎年来ていたのはタカおじさん(母の弟)やおばさん(父の妹)とその息子二人にその嫁ひとりと弟一家(5人)と妹一家(4人)と大賑わいだった。

それが今年は弟一家だけになってしまった。

それもそのはず、近年では父も亡くなりタカおじさんも亡くなり親戚はどんどん減っていって、おまけに妹夫婦は先月旦那の急な転勤で急きょ岡山県まで引っ越すことになり、今はまだ引越しの荷ほどきも終わってないという状況。

妹の小さな息子と娘に会うのを楽しみにしていたおばさん(父の妹)は

「えーさっちゃんたち来ないの?じゃあ、寒いから行くのやめとこうかしら」

と、今回は不参加に。

そういうわけで今年はいつになく寂しい正月になってしまった。

でもこれも仕方ないことだ。

「家族」という集団形態も膨張と収縮を繰り返すものなんじゃないかな?と最近思うようになった。

結婚し、子供が生まれ家族は増えるが、年月が経つにつれ祖父や祖母は亡くなり子供らは親元を離れていく。

まるで潮の満ち引きのように、呼吸するように「家族」も膨張と収縮を繰り返すものなんじゃないかなと。

だから縮んでいくのは仕方のないことだ。

さみしいけど。

「膨張する」という選択をしてこなかった僕はそれを受け入れるべきなんだ。 

抗がん剤から回復してきたので、さわやかなことをしていきたい

2019年1月2日。

アバスチン抗がん剤投薬後から5日経過

体調はどうかと言うと昨日よりは多少良くはなっている。

抗がん剤の投薬での入院中から退院後5日目の今日にかけてほとんど寝たきりだったので、少しでも身体を動かそうと近くの自然公園にウォーキングに出かける。

ちょっと寒くはあるがやっぱり自然の中を歩くのは気持ちがいい。

さわやかだ。

この「さわやか」というワードは大事だ。

僕はこれからなるべくこの「さわやか」なことを選択していこうと思う。

これは精神的にも肉体的にもプラスになるはずだ。

僕が癌であることを知っていて体調を心配してくれる友人

散歩を終えると高校のときからの友人キシダ君(仮名)から僕の体調を心配して電話がかかってきた。

多分正月休みでおとそ気分というかお酒も入っているのだろう。酔いも回っているのか半べそをかきながら

「だいじょうぶか~」

と、僕のことを心配してくれている。

そして僕は

「大丈夫だから」

「俺はね、まだ生きることをあきらめてないから」

「これからは生きていくための選択を精いっぱいしていくつもりだから」

と告げ、その後は他愛もない世間話をして電話を切った。

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こうして僕のことを心配して連絡をくれる友人はとてもありがたい存在だ。

実際に彼に電話で今の自分の気持ちというか決意のようなものを声に出して言うことはに僕にとって意味があったと思う。

声に出して宣言すること。

それだけでそれが現実の方に向かっていってくれる気がするから。

その未来とつながれる気がするから。聞いてくれてありがとうね。

抗がん剤と付き合っていくという選択

僕は選択することができる。

抗がん剤の投薬から5日以上やり過ごしてご飯を食べるという選択をしてもいいし、投薬後すぐにご飯を食べてもいい。

僕はなるべく抗がん剤の副作用による下痢や嘔吐で苦しみたくないから「抗がん剤の副作用から回復してから食事をする」という選択をしてきた。

どん詰まりの人生に思えたけど、僕にはまだ選択の余地がある。 

生きるために、うまく抗がん剤と向き合うためにこういった選択をする。

なにを選択するか、その自由はまだ僕には残されている。

「自分で選ぶ」ということは人生を投げ出さないでいるために大事なことなのかもしれない。

アバスチン抗がん剤について

少しだけ気分も回復したので病院からもらったアバスチン抗がん剤についての小冊子「AVASTINハンドブック」にも目を通しておこう。

ひととおり読んでみてアバスチン抗がん剤についてざっくりまとめるとアバスチンは「血管新生阻害剤」と言うタイプの薬らしい。

アバスチンのメカニズム

がん組織は大きくなるのが早くその分たくさんの栄養が必要となり、血管からの栄養だけではすぐに足りなくなり成長が止まってしまうらしい。しかし、がん組織は何とか大きくなろうとして、もともとの血管から自分専用の新しい血管をつなげて栄養を供給しようとする。この新しい血管ができる過程を「血管新生」といい、血管がつながって栄養が届くようになると、がん組織は成長を加速させる。

またがん組織につながった血管を通って、がんが全身に運ばれていくこともあるという。

アバスチンはがん組織が専用の血管を作るのを阻害して、がん組織の成長を妨げようという考えで登場した、「血管新生阻害剤」と言うタイプの薬。

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従来の抗がん剤との違い

これまでの抗がん剤の多くは血液の中に入って全身をめぐり、がん組織を直接攻撃するががん組織だけではなく正常な組織にも影響して様々な副作用が起こってしまう。

一方、アバスチンはがん組織を栄養不足や酸素不足にして追い詰めるという、全く異なるメカニズムで作用するもの。

ただし、正常な血管の仕組みに影響及ぼすこともあり、抗がん剤と同様に副作用には充分注意する必要があるとのこと。(※AVASTINハンドブックより参照)

アバスチンの注意点

アバスチンの治療を慎重に受ける必要がある人

  • 脳に転移があると診断されている人
  • 胃潰瘍などがある人
  • 大きな手術を受けて間もない人
  • 血が止まりにくい体質の人
  • 血を固まりにくくするお薬による治療を行っている人
  • 動脈や静脈の中に血の塊ができる病気(脳梗塞、心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症)にかかったことのある人
  • 高血圧症の人、心臓の病気がある人
  • 高齢の人
  • 妊婦または妊娠してる可能性のある人

アバスチンによる治療で見られる主な副作用

副作用のあらわれかたは個人差があるので一概にはいえないが、中には重症化して危険なものもあるとのこと。

アバスチンを他の抗がん剤と併用すると次の副作用が多く見られる。

  • 高血圧症
  • 尿にたん白が出る(たん白尿)
  • 鼻血などの粘膜からの出血
  • 白血球数、好中球数の減少(抵抗力の低下)等 

その他起こる可能性のある副作用

  • 手足の疼きやしびれ感
  • 手足の痛みや腫れ
  • 爪の色の変色や変形
  • 下痢
  • 吐き気、嘔吐
  • 食欲不振
  • 口内炎
  • 白血球数の減少抵抗力の低下
  • 出血や傷ができやすい
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 脱毛

 などがある。(※AVASTINハンドブックより参照) 

これからこういう副作用が起こるかもしれないということを事前に知っておくことに越したことはない。

今後は自分の体調を注意深く観察して、いろいろと対策できるところはしていこうと思う。