44歳の僕がステージ4の大腸がんと診断されて

2016年大腸がん発覚。手術後、腹膜への転移が確認されステージⅣだと告知される。その後半年間に及ぶベクティビックス抗がん剤治療を受ける。2018年12月がん再発。アバスチン抗がん剤治療を受ける。48歳になりました。

医師への手紙。新薬の治験に参加したいという考えを手紙にする

医師への手紙。新薬の治験に参加したいという考えを手紙にする

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この記事ではヨシノ (id:yo_kmr)が2019年の6月下旬に書いたメモをまとめています。広島で医師をしている従兄のアドバイスを受け、新薬の治験に参加してみたいと思うようになりました。まず最初のステップとして担当医に宛てた手紙を書くことにしました。

医師をしている従兄のアドバイスを受け、手紙を書くことに

先日の経過観察でのCT検査で、PD(増大)傾向にあるという結果が出てしまった。

僕の中でがんが大きくなっている。この事実は僕を大いに動揺させ混乱させた。

担当医のアマキ先生と今後について相談したが、標準治療として効果が期待できそうな薬はあとふたつくらいだし、それもこれまでやってきた抗がん剤に比べたら効果の期待値は下がるという。

僕の人生の可能性が急激にしぼんでいくように感じた。

自分はもうだめなのか、この先は緩和ケアなどで苦しさをごまかしながら人生の終焉に向かっていくしかないのか?

そう考えるとますます恐ろしくなった。

「何か他に手はないのか?」と考えた僕は今現在、広島の大きな病院で麻酔科の医師として働いている従兄に、セカンドオピニオンについてのアドバイスを求めて電話をしてみることにした。

www.44cancer.com

従兄のセイちゃん(仮名)は親身になってアドバイスしてくれて、セカンドオピニオンについてはあまりやる意味はなさそうだけど、新薬の治験にエントリーしてみてはどうかという助言をしてくれた。

その際に「担当のドクターあてに手紙を書くといいよ」とアドバイスしてくれた。手紙なら自分の考えの要点を漏らさず伝えることができるし、医師はその手紙をスキャンしてカルテに添付するので忘れにくいとのことだった。

セイちゃんからのアドバイスを聞くまでは、正直言って「医師あてに手紙を書く」なんてことは思ってもみなかったことだ。

普段から医療現場で働いていれば患者から医師への手紙などそれほど珍しいことではないかもしれないが、僕にとってはそんなことをやろうなんて思ってもみないことだし、周りで医師に対して手紙を書いたなんて人も見たことがない。

でもこの「手紙を書く」ということは実に有効だと思った。

僕の気持ちが確実に伝わるし(手紙を読んでくれれば)インパクトも強いと思う。

セイちゃんに相談してよかった。医師目線でのアドバイスはまさに目からうろこだった。

そうと決まれば即行動で、百円ショップでレターセットを買ってきたので、早速担当医のアマキ先生に手紙を書いて明日、病院に直接もっていくつもりだ。次の診察予定日までにまだ数日あるが、こういうことは早いほうが良いと思う。

僕はこれまでラブレターはおろか、近年では年賀状すら書かなくなったので手紙を書くことは苦労したが、なんとか書き終えた。

医師への手紙。治験にエントリーしたいという考えを文章に

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以下が手紙の全文。(プライバシーに関わることは変更してあります)

アマキ先生へ

いつも私の治療にご尽力くださいましてありがとうございます。

突然このような手紙をお渡しすることをお許しください。

多忙な先生の手をなるべく煩わせないようにとの思いと、自分の考えを口頭よりも文章にしたほうが明確にお伝えできると思いまして、この手紙を書くことにしました。

先日のCT検査でPD(増大)という評価を受け、さらに腫瘍マーカーも手術後初めて異常値を示したということもあり、私自身言いようのないショックを受けました。

自分の人生が収束していくような、真っ暗な闇の中へ向かっていくようなそんな恐怖に怯えました。

生への可能性がどんどん狭まっていき、行きつく先は苛烈な痛みと苦しみの末に訪れる人生の終焉なのだと。

そんな考えばかりが頭の中をぐるぐると回り続けています。

失意の中、このまま座して死を待つ事しかできないのか?他に方法はないものか?といろいろと考えました。

そして自分なりに調べた結果、最新の新薬を含めた治験にエントリーできないかと考えました。

もし可能であれば、それらの可能性にかけてみたいのです。

つきましては図々しいお願いではありますが、先生のご出身の大学病院や医局、またはその他の機関でそのような研究をされている方をご存知ないでしょうか?もしご存知であればご紹介していただいて、お話だけでも聞いてみたいのです。

手前勝手なお願いで甚だ恐縮ではありますが、お力添えをいただければこれほど心強いことはありません。

どうかご検討のほどよろしくお願いいたします。

2019年7月1日

ヨシノ

セイちゃんのアドバイスに沿って、最新の新薬の治験にエントリーしたいという希望を率直に書いた。

僕の希望としてはこの手紙を呼んでくれたアマキ先生から誰かがんの研究をしているドクターを紹介してもらって話しだけでも聞いてみたいし、できれば何か新しい治療法が見つかるきっかけになればいいと思っている。

手紙を直接外科外来に持っていく

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手紙を書いた翌日。昨晩書いたアマキ先生あての手紙をあさイチでいつもの総合病院の外科外来の窓口に持って行った。

僕が

「いつもお世話になります。ヨシノです。これ担当のアマキ先生に渡していただきたいんですが…」

と手紙をもっていくと、受付窓口の人は

「あ、はい分かりました。お預かりしますね」

と、別段驚いた感じでもなかったので、患者から医師へ手紙を渡すということは別に珍しいことでもないのかな?と感じた。

とりあえずはひとつのステップをこなして、少しだけ前に進んだような気がする。

この先どうなるか分からない。手紙を読んだ先生が

「治験やってるドクター知らないんですよ」

と言われるかもしれないし、

「僕の知ってるがんの研究してるドクターを紹介しますよ」

とか言ってくれるかもしれない。

しかし、今ここでとやかく考えてもしょうがない。とりあえず僕はできることに対しての先手は打ったつもりだ。

いろいろとがんばってはみたものの、結局は当初の予定通りにベクティビックス抗がん剤をすることになるかもしれない。

それでもその前にできることがあるならば動かなければ、あがかなければ。

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというが、僕のヘタな鉄砲が当たるまで何度も弾倉に弾を込めて撃ち続けていこうと思う。